今日の問題提起:

本題に入る前に質問です。フランス組曲第2番に、第2メヌエットがあるのを知っていましたか? バッハがかなり後になって追加した楽章なので、現在出回っているフランス組曲の楽譜でも載っていないものも少なくありません。でもとてもいい曲ですよ。

さて、私はこの曲の冒頭の右手に、(バッハ自身は何も書いていませんが)音符2つずつスラーを付けて弾こうと思いました。そんな場合に、スラーの辞書的な定義を踏み越えて、バロック音楽の演奏にとても効果を発揮するスラーの弾き方をたくさんご紹介します。

ビデオの要約:

  • 辞書的な意味でのスラーとは、スラーで結ばれた音符の間を隙間なく滑らかにつなぐ(そしてスラーの最後の音は短く切る)こと
  • スラーが付いた2つの音を同時に重なる時間を作ってから2つの音を同時に離すと、上の声部がよく歌う
  • スラーが付いた始めの音を拍いっぱいに(つまり楽譜上の音価の2倍)伸ばし、後の音は短く切ると、全く性格の異なる2声部として聞こえる
  • スラーが付いた始めの音も後の音も完全に伸ばして重ねることもできる
  • これらのスラーの弾き方を曲の中で使い分けて変化を付けることができる

 

では、以上の解説を踏まえて、この曲を通してお聴き下さい。

追加レッスン

バッハのメヌエットには、2曲がセットになってダ・カーポするものが多いことをご存じですか? 上でご紹介したフランス組曲の第2番のほかに、フランス組曲の第1番も第3番もそうです。イギリス組曲の第4番もそうです。これにも、当時の宮廷舞踏会の事情が関係しているのです。

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