今日の問題提起:
インヴェンション第10番ト長調。ピアノを習っていた人ならたぶんこの曲は子供の時に弾いたことでしょう。その時の弾き方はどうでしたか? 機械的にメトロノームどおりでしたか? しかも、全部の音を均一にレガート、または均一にスタッカートで弾きませんでしたか?
無理もありません。ピアニストたちがみんなそう弾いているんですから。それも、すごく速いテンポで「テクニックの練習曲」として。
でも、チェンバロ奏者の私に言わせると、それはバッハの意図とは違います。第一、バッハ自身が自筆譜に後年追加した装飾音がその速いテンポでは弾けないのです。
ビデオの要約:
- この曲を知らない人が楽譜を見ずに聴いても拍子が分かるような弾き方をするのが親切
- バッハは自筆譜に8分音符にも装飾音を追加している → 遅めのテンポ → リュート風に響きを指で残す弾き方
- とても珍しいことに、前半はことごとく3小節ずつのまとまり
- 3小節単位であることを聴き手に伝えるために、3小節ごとの終わりにわずかにリタルダンドする
では、以上の解説を踏まえて、この曲を通してお聴き下さい。
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