子供用の練習曲なんかじゃない(ビデオ付き)

「G.F.ヘンデル作曲:組曲 ニ短調 HWV437 より サラバンド」なんて書くと、いかにも堅苦しそうですね。でもたぶん、聞いた瞬間に「ああ、この素敵な曲ね!」って分かるはずですよ。

じつはけっこう有名な曲です。「ヘンデルのサラバンド」といえばこの曲です(ヘンデルのサラバンドはほかにもたくさんあるのに)。試しにgoogleで「ヘンデル サラバンド」と検索したら、この曲の動画がいっぱい出てきましたよ。

そうそう、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」でも最後のほうで少し音を変えて弦楽合奏でBGMに使われていた記憶があります。あなたもきっとどこかでお聞きになっているはずです。

この曲、楽譜がけっこうシンプルで、インヴェンションを弾く前に経験しておく易しいバロック音楽として曲集にもよく載っています。私も子供の時に弾きました。それもほぼ初見で。

 

でも、今の私はとても初見では弾けません。これは子供用の練習曲なんかじゃないんです。弾くのがとっても難しい芸術作品なんです。

バロック音楽で楽譜がとてもシンプルということは、楽譜通り弾いたんじゃ全くダメということです。特に繰り返しのときの装飾は、元の楽譜が分からないくらい「これでもか!」と施さなければなりません。

単に装飾を山盛りにすれば済むという話でもありません。和音の分散のさせ方とか、微妙な間とか、その他ありとあらゆることを駆使します。そして、一見どこも同じように見える楽譜を、どこも違って聞かせる必要があるんです。

子供の時に初見で弾いてから40年以上経った今回、収録にあたってけっこう悩み、練習時間もかかりました。予想以上にものすごく挑戦しがいのある曲でした。

できたばかりのビデオをご覧ください。どうですか? 立派な芸術作品でしょ?

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子供用の練習曲なんかじゃない(ビデオ付き)” に対して4件のコメントがあります。

  1. 澤田 博實 より:

    確かに名前は知りませんでしたがよく聞く曲ですね。
    こうゆう有名な曲はかえって上手く弾くのが大変ですよね。

    1. 八百板 正己 より:

      ありがとうございます。

      有名な曲ほど、聴く人それぞれに好みの演奏があったりします。
      「青春時代のこういう場面で聴いていた」みたいな、大切な思い出と一緒になっていたりします。
      すると、その好みの演奏と私の演奏が違うからという理由で受け入れてもらえないことも結構多いんですよ。
      大切な思い出を超えるほど説得力のある演奏が求められますね。挑戦しがいのあることです。

  2. T.H より:

     最初に聴きおぼえた曲がこの曲だったような?気がします。
    繰り返しがあるのでわかりやすかったのでしょうか?
    少し哀調が感じられる曲だなあと思いながら聴いていました。
    テンポもゆっくりで私にはあっていたのかなと思います。

    1. 八百板 正己 より:

      ありがとうございます。
      たしかにシンプルなことを繰り返して、それだけで曲ができてしまっています。
      その分かりやすさが、この曲の人気の理由でしょう。

      それにしても、特別なことは何もしていないようにさえ思えるシンプルさですが、それで私たちの心をつかんでしまうところがヘンデルの凄さですね。

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