2段の鍵盤を連動させたら重くて弾けない!(写真付き)

2段の鍵盤を連結させたら、ある音だけキーがすごく重くて弾けません! 下の鍵盤だけで練習していた時はスムーズだったのに・・・

チェンバロは小さな爪が弦をはじいて音を出します。はじく直前には、爪がたわんで抵抗が指先にかかります。とは言っても、1本の弦をはじくだけなら大した抵抗ではありません。

それが、上下の鍵盤を連動させて2組の弦を同時にはじいたり、さらに3組目の弦も鳴るようにセットすると、そのままでは抵抗がすごく大きくなって弾けないのです。

その対策として、同時にはじくタイミングがわずかにずれるように調節しておきます。こうすれば、指にかかる抵抗は時間的に分散するので、比較的なめらかなタッチで弾けるのです。これを「撥弦時差(はつげんじさ)」と言います。

ところが、何かの拍子にその時差がなくなってしまうと、その音だけすごく抵抗が大きくなって弾けなくなるのです。

写真は、ジャック(爪を取り付ける木の細長い部品)の下端に付いているネジを回して、撥弦時差を調節しているところです。ネジを回す分量は半回転とか1回転とかです。

逆に撥弦時差が大きすぎるのもいけません。遅い曲などでキーをゆっくり押したときに、1つの音なのに同音連打に聞こえてしまうからです。

 

ただ、撥弦時差が狂った時に、安易にジャックのネジを回してしまうのはダメなんです。新しく交換した爪が前より厚かったり薄かったりしているとか、キーのガイドピンに錆が生じているとか、他の原因の結果として撥弦時差が狂うことのほうが多いからです。

このあたりの見極めができるようになるまでは、私もさんざん楽器調整に振り回されていましたっけ。

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2段の鍵盤を連動させたら重くて弾けない!(写真付き)” に対して4件のコメントがあります。

  1. Y.M. より:

    「撥弦時差」という言葉は初めて聞きましたが、アルペジョと同じように考えることができますね。
    チェンバロで和音を弾く時、少しずつタイミングをずらして打鍵することで、チェンバロならではの「シャララン」という音が鳴りますが、これを全く同時に打鍵すると、「グシャッ」という聞き苦しい音になってしまいます。
    ですから撥弦時差がなくなってしまうということは、演奏者が弾きにくいだけでなく、聴衆にも聞き苦しい音を出すことになってしまうと思います。

    同時に鳴らす者を増やすと鍵盤が重くなるのは、トラッカーアクションのパイプオルガンがそうですね。
    ストップをたくさん引き、他の鍵盤も同時に鳴らすようにすればするほど、鍵盤が重くなります。
    ですからバロック時代には、壮麗なプレノは音符の時価が長く、速いパッセージはリュックポジティフで少ないストップで演奏する、そのように作曲していたと思います。
    19~20世紀には、空気アクションを使って、たくさんストップを引いても鍵盤が重くならないようにしたり、鍵盤を電気スイッチにしてしまうような機構が開発されましたが、
    結局、演奏者の指先のタッチを音に活かせるトラッカーアクションが一番、ということになっていると思います。

    1. 八百板 正己 より:

      はい、添削します!

      パイプオルガンは、一つの鍵盤でどんなにストップを引き出しても、タッチの重さは変わりません。
      タッチが重くなるのはカプラーを入れた場合だけです。
      オルガノ・プレーノで音価が長いのは、残響で不明瞭になるのを避ける意味が大きいです。実際にはプレーノで32分音符もトリルもけっこう出てきますよ。

  2. イワモト マサヒコ より:

    スタッガリングのことですよね。ネジに調整は楽だと思いますが、私の楽器にはついていないので薄く紙を、貼ったりです。楽器にもよるのかもしれませんが4-8-8の順だと比較的軽いタッチな様ですが8-8-4の順たと重くなる様ですし、4の発音が上手く行かなく難しいようです。揃えるのは中々難しいです。

    1. 八百板 正己 より:

      私が持っているマルティン・スコブロネック製のチェンバロも、ジャックにねじが付いていません。この楽器が新潟に来た時にけっこう弦と爪との距離にばらつきがあったので、私は紙ではなく革を貼ってから削りました。
      本当はジャックとキーとは面で接する方が音がいいそうで、ねじが付いているのは邪道なんだそうですよ。

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