全18曲が完結

バッハが息子たちや弟子たちの教育のために作った18曲の前奏曲、通称「小前奏曲」はご存じですか?

このほど、その18曲全部のビデオ収録が完結したんです!

といっても、ピアノを勉強する人たち以外には、たぶんほとんど知られていないんだと思います。コンサート映えするわけでもなければ、何か特別なエピソードを持っているわけでもありません。わざわざ聴こうという動機が無いですからね。

聴く動機が無いのであれば、作って差し上げましょう! というのが今日のブログの趣旨です。

 

さっき「教育のため」と書きました。この言葉から、どんなことを想像しますか? 教育用だから機械的でしょうか? 教育用だから単純でしょうか? 教育用だからつまらないでしょうか?

違うんですよ。バッハの場合、教育用だからこそ一切の妥協を許さずに完璧を目指すんです。だって、何十人もの弟子たちがその曲を手本にして勉強するんです。その手本の出来不出来によって、弟子たちが作曲家として立派に活躍するかどうかが左右されるんです。

曲の長さこそ短くて、たったの数十秒で終わってしまうものすらあります。でもその中に、バッハ先生から弟子たちへのたくさんのメッセージがぎっしりと詰め込まれているんです。ものすごい密度です。

今回、これらとじっくり付き合ってみて、あらためて「バッハってすごいなあ!」と驚いています。「ヨハネ受難曲」や「ミサ曲ロ短調」のような、記念碑的な大曲はもちろん素晴らしい人類の遺産です。でも、正反対の極小の世界にも素晴らしい曲がたくさんある、それがバッハのすごさだと思うんです。

 

どうですか? どんな曲なのか、聴いてみたくなってきたでしょう?

お聴きください。技術的には易しいたった数十秒の曲ですが、工夫の限りを山盛りにして弾きました。決して「機械的」「単純」「つまらない」なんて言わせませんよ。

 

追伸:
18曲の小前奏曲を全部、下のボタンから私の演奏でお聴きいただけます。表示されるページを下のほうにずーっとスクロールしてください。「小前奏曲」のタイトル以下に18曲が6つずつのグループに分かれて並んでいます。

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全18曲が完結” に対して8件のコメントがあります。

  1. 澤田博實 より:

    毎回、新しい曲を紹介頂き、その情熱に感心して居ます。

    1. 八百板 正己 より:

      ありがとうございます。
      今のペースですと、バッハのチェンバロ曲を全部収録するのに、あと10年くらいかかりそうです。
      たぶん途中で情熱が枯れてしまうことは無いでしょう。
      バッハは凄すぎます。

  2. Y.M. より:

    バッハが作曲した教育用の音楽は、どんなに簡単そうに見える小品でも、
    指を動かす練習曲ではなくて、インヴェンションの序文に書いてあるように
    「良い着想を案出するのみでなく、それをりっぱに展開すること」、
    「なによりもカンタービレの奏法を身に付けること」
    を目的にしているのではないかな、と思います。

    1. 八百板 正己 より:

      そうですよね。
      バッハを弾く人がみんな、そのように考えてカンタービレに弾いてほしいです。

  3. 永松康秀 より:

    八百板先生
    小プレリュード集のご紹介とレッスン動画の作成をありがとうございます。
    たまたま興味を持って練習を始めたところだったので、タイミングの良さにびっくりしました。
    手頃な長さなので基本の学習には良いと思った次第です。できれば発表会の一曲目に弾きたいと思うのですが、やはり映えないでしょうか? 二曲目はシンフォニアを想定しています。
    時間がある時に期間限定で会員登録して集中的に勉強したいと思います。

    1. 八百板 正己 より:

      永松様
      小プレリュードはどれも、ちゃんとバッハが弾いたように弾くならば、すごくコンサート映えしますよ。
      「二曲目がシンフォニア」とのことですが、次に続く曲を導くために前奏曲を弾くのは素晴らしいアイデアですね。

      1. 永松康秀 より:

        八百板先生
        ご返信ありがとうございます。
        基本技術が不足している自分ですが
        励みにして練習を頑張ります。

        1. 八百板 正己 より:

          基本技術は、曲の勉強とは別に並行して、5年10年20年と生涯にわたって伸ばしていくものです。
          言い換えれば、基本技術の向上を待っていたら、一生何も弾けないことになってしまいます。
          ぜひ、今弾ける小前奏曲を精一杯楽しんでください。

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