4000ページを一応読破(写真付き)

お客様からプレゼントされた4000ページのバッハ文献を、一応読破しました!

バッハ叢書、全10巻に別冊付き。毎日10ページずつ読む計画で、1年半かかりました。

ただ、あまりに難解でどうしても読み進められなくて、3分の1読んだところで挫折した巻もあるんですけどね。今の私の総合力の限界ということでしょう。これ以上意地になって目だけ活字の上をさまよっても時間の無駄と思ってやめました。

 

さて、1年半もかけてこれほどのものを読んでみて、確かに私の音楽が変わったことがあります。それは、バッハの作品をバッハの生涯全体との関係で考えるようになったことです。

かつての私は、バッハのチェンバロ曲をチェンバロ曲とだけ見ていました。バッハ自身はチェンバロ曲にスラーやスタッカートなどを滅多に書かない人でしたが、ある音を伸ばそうが短く切ろうが、それは単に奏者の好みに委ねられているんだと思っていました。

やがて、バッハが自分のチェンバロ曲の中にヴァイオリンやリュートやオルガンといった他の楽器の表現をふんだんに取り入れたことを理解しました。それによって、ある音を伸ばしたほうがいいのか短く切ったほうがいいのかは、バッハがチェンバロ以外のどんな楽器のイメージを持ってその曲を作ったのかによって決まる、と考えるようになりました。

バッハはチェンバロ曲に合唱や独唱などの声楽の表現も取り入れました。そのことは私も理屈では分かっているつもりでした。でも、「これは明らかに壮大な合唱風」と思える曲以外は、どうしても器楽的に発想することが習慣になっていたようなのです。それが、この1年半で視野が広がったと思うんです。

 

そんなふうに私の視野が広がった例をひとつご紹介しましょう。バッハのインヴェンション第5番です。この曲の16分音符に、かつての私は弦楽器風の細かいスラーをたくさん付けて弾いていました。そして、つまらない曲だと思い込んでいました。でもそれは私の勘違いだったのです。

そうやって音の切り方を変えた結果、曲のイメージは全く変わりました。私はこの曲が大好きになりました。この曲を始めから最後まで通してお聴き下さい。

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4000ページを一応読破(写真付き)” に対して4件のコメントがあります。

  1. T.h より:

     「4000ページも読破されて、さらにその内容を加味されて演奏される」
    とはさすが先生ですね!!!
     
     我が家にも小学館発行のバッハ全集(15巻)等がありますが、必要な時だけ
    その箇所を選んで摘み読みしています。

    時間をかけて読み通されたこと、とても素晴らしいことだと思いました。

    1. 八百板 正己 より:

      ありがとうございます。
      ひととおり読んだというだけで、頭の中に入ったわけではありませんけど。
      これから、バッハを弾いていて何か疑問が湧いたら、その都度この文献に立ち返ります。その時に本当に役に立つのでしょう。

  2. 齊藤ゆかり より:

    いつもありがとうございます。なかなか日常のことに追われてじっくりと腰を据えて音楽に取り組むことができないのが心苦しいところです。いつか音楽に没頭できる日がきたら、じっくり拝見させて頂こうと思って大切に記事を保存しております。

    1. 八百板 正己 より:

      嬉しいお言葉、どうもありがとうございます。
      やりたいのに時間がないというのは、たしかにつらいですよね。
      でも、想いがあればいつか叶うことでしょう。音楽への想いを持ち続けて下さい。

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