久しぶりにゆっくりしました

ああ、久しぶりにゆっくりと日曜日を過ごしました。

毎月4回ある日曜日。そのうちの2回は確実に、新潟バッハ管弦楽団&合唱団の指導をする日になります。それ以外でも、自分が演奏するコンサートなどがけっこう日曜日だったりします。まあ、音楽家もサービス業ですから、日曜日のほうが忙しくて当たり前ですね。

では、そういう仕事のない日曜日はゆっくりしているのかというと、そうでもないのです。理由は娘です。

娘がかよっているクラシックバレエの教室が、日曜日の午前中にレッスンなのです。平日とあまり変わらない時間に起きて支度をして、妻と娘は慌しくバレエ教室に向かいます。なので、私も大抵は(よほど疲れていて朝寝坊を決行するとき以外は)いつものようにスタジオに出勤するのです。

で、妻と娘がバレエ教室から帰ってくる時間に私が帰宅するかというと、それをしないでスタジオに夜まで居続けてしまいます。だって、練習すべき曲はたくさんあるし、原稿を書くべきお手紙もたくさんあるし、家にいるとこういうブログも書けないし。

 

でも今日は違いました。

昨日の夜から娘が「足が痛い」とか言い出して、湿布をして寝ましたが、一晩湿布をしたくらいでは直りません。バレエ教室に休みの電話をすることにして、何かと疲れがたまっている家族みんなで朝寝坊を決行しました。

かなり遅い朝食が終わって、こんな時間に久しぶりに娘と一緒にいるので、お出かけ、でもしてあげれば娘も喜ぶんでしょうけど、算数の勉強を見てやる事にしました。「もっと楽しいことがいい!」と抗議する娘をどうにか説得して。

宿題やら学校の予習やらで1時間半近くも算数を勉強したら、娘の集中力がゼロに近付いてきました。当たり前ですね。勉強は終わりにしました。

そして、頑張って勉強したご褒美に、本の読み聞かせです。

娘が1歳になった頃から、長崎の出版社から毎月2冊の本を届けてもらっています。それを娘に読んであげるのはほぼ私の役目です。始めは絵ばっかりの薄い絵本でしたが、このごろは絵のない本の割合が半分以上になって、厚さもどんどん厚くなります。私も娘もそれぞれ忙しくて、読まないうちに次の本がまた来て、どうしても溜まりがちになります。

このごろは自分でもどうにか読めるみたいでもありますが、その出版社いわく「親が読んであげることによってしか伝えられないことがたくさんあるので、どうか読んであげて下さい」とのこと。今日は厚さが1cmある、ほぼ字ばかりの、でも時々ある白黒の挿絵がかわいらしい、ねずみの物語を30分だけ読んであげました。

娘が幼かった頃は、私が「絵本を読んであげる」と言うと、必ず私のあぐらの中にすっぽりはまり込んできたものです。さすがに今ではあぐらの中には入りませんが、それでも私の体を背もたれにして寛ぎながら聞きます。その出版社によれば、「そうやって本を読んでもらい続けた子は、本そのものの楽しさも分かっているけれども、本を読んでくれることが自分に向けられた親の愛情であることを本能的に知っている」のだそうです。

それだけではありません。その出版社いわく「父親は子供に本を読んであげることで、物語に託された人生の指針を子供に伝えるという父親ならではの役目を果たせる」といいます。さらに、読んであげている私自身が多くのことを深く考えさせられますが、その出版社は「父親は本を読んであげることによって父親になる」とまで表現しています。

 

私も音楽家として、単に耳に心地よい曲を美しく上手に弾くだけでなく、この出版社のような崇高な哲学を持って活動したいです。具体的に何をどうすればいいのかはよく分かりません。でも、過去の偉大な作曲家たちはきっと崇高な哲学を持って曲を作ったのですから、まずは作曲家からのメッセージを見逃さないことでしょうか。

コンサートで美しく上手に弾けるための地道な練習と並行して、もっと大きな視点を持ち続けるように心掛けます。

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久しぶりにゆっくりしました” に対して2件のコメントがあります。

  1. T.H より:

     素晴らしいご家庭の様子ですね!

    それこそ幸せな父と子。どちらも最高だと思います。
    お父様の愛情を身体いっぱいに受け取って感じられて成長されて行かれます。

    私の小さい頃は紙も本もあまりない時代でした。数冊の本を祖父からいつも読んで貰っていました。本は買えたのかどうか?です。一休さんのお話だけは毎日読んで貰っていたようです。小学校では大体ざら紙にガリ版の印刷でした。
     
     痛ましいニュースをテレビが伝えるこの頃です。あの恐ろしいお父さんに
    先生の読み聞かせの様子を伝えられたらどんなにか良かったことか・・・。

    1. 八百板 正己 より:

      お褒めのお言葉、ありがたく頂戴します!
      今は豊かになりすぎて「本離れ」だそうですが、紙も本も貴重だった時代があったことを忘れずに、いつでも本が読めることに感謝していきます。

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