どうやってサラバンドらしく聞かせる?
私のお城「見附チェンバロスタジオ」にて、生徒さんがバッハのパルティータ第2番のサラバンドをレッスンに持っていらっしゃいました。
サラバンドがどういうリズムの特徴を持った曲かを知っている人ほど、「この曲のどこがサラバンドなんだ?」と思うでしょう。単にテンポが遅くて3拍子というだけじゃないかって。
和声分析をしてみると分かりますが、多くの小節で2拍目と3拍目が同じ和音になっています。つまり、和音の変化だけに着目すればサラバンドらしい「4分音符+2分音符」のリズムになっているのです。
でも、この楽譜をそのまま弾いたのでは、和音変化によるサラバンドのリズムは聞こえてきません。ではどうするか?
ヒントは写真の楽譜の1段目と、繰り返し記号の前の小節にあります。
1段目では、1拍目と2拍目のそれぞれ右手の最初の音を4分音符として伸ばせ、と書かれています。これを全曲にわたって両手で可能な限り実施するのです。さらに、繰り返し記号の直後のような形では、拍の最初の音だけでなく、和音として響かせられる限りの音をみんな伸ばすように弾きます。そうすれば、曲全体が繰り返し記号の前の小節のように和音として「4分音符+2分音符」に聞こえてくるのです。
つまり、この曲は「リュートの響きをイメージして弾く」ということです。
ついでに言うと、繰り返し記号の前の小節だけ和音が「ジャーン」と鳴るのでは、曲のほかの部分と調和しません。こういう厚い和音は、たっぷりと半拍くらい時間をかけて分散和音で弾きます。1拍目でそれをすると左手の2番目の16分音符にまたがってしまいますが、それでもいいのです。勇気が要ることですけれどね。
今日いらっしゃった生徒さんには、このサラバンドのすべての小節のすべての拍について、どの音を指で残しながら和音として響かせるのかを、1時間めいっぱい使って体得していただきました。それだけで、見違えるようにチェンバロらしく、サラバンドらしくなりましたよ。こういうことはやはりチェンバロ奏者からしか聞けないノウハウだと思います。
追伸:
サラバンド特有のリズムを体験できる簡単なエクササイズをご用意しました。どうぞやってみてください。
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八百板先生
いつもありがとうございます。
バッハのアルマンドをリュート風に…美しいです!弾き方で本当に違う音楽のようになるんですね。
演奏していらっしゃる先生の動きからも、「音を残す」ということがよく伝わってきます。
ぜひ、この教材が欲しいです! そこで、質問をさせてください。
実は、この教材が「インターネットで」というところが不安なのです。
以前、そういう教材を買ったのに、ダウンロードがうまくいかず、お金が無駄になってしまったことがあるものですから。
先生の教材は、簡単にダウンロードできるでしょうか。それとも別の方法で、たとえばyoutubeのように、毎回クリックするだけで簡単に見られるのでしょうか。
お忙しいのに、くだらない質問で申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございます!
このビデオ教材の仕組みは、ダウンロードではなく、私が作った専用ウェブサイトを経由してYouTubeをその都度見に行く、というものです。動画そのものはYouTubeに保存されています。ただ、このビデオ教材をお買いになった方にしか見ることができないように細工がしてあるだけです。上のサンプル動画も同じ方法でこのページに貼り付けてありますので、これをご覧になれたのであれば大丈夫のはずです。
それでも、もしお持ちの機器でうまく動画にアクセスできなかったり、うまく再生できなかったりした場合には返金いたします。
八百板先生、
早速のお返事をありがとうございました。
安心いたしましたので、購入させていただきます。
自宅でも職場でも、その他パソコン類があるところならいつでも見られるなんて、夢のようです!
ありがとうございます!
ご購入のお手続きは、お手数ですが、何か手違いがあるといけませんので、ウェブサイトのご購入ページからお願いいたします。
「書籍、ビデオ教材」→「オンライン・ビデオ教材「バッハの組曲を10倍楽しむ完全ガイド」」のページ中に数ヶ所ある「発売記念特価での購入はこちらから」のボタンをクリックしますと、ご購入ページが表示されます。
よろしくお願いいたします。
2021年7月に再配信されたメルマガを拝読しました。
2018年に初めてビデオを拝見した時には気が付かなかったようなことが、
継続してメルマガを購読し、知識が増えてから改めてビデオを拝見すると
気が付くことがあって、大袈裟な言い方をすると「購読者も成長したことを知る」のは
メルマガを再読することの効用だと思います。
そうはいっても何年も前のメルマガを再読する機会はなかなかないので、
重要な内容のメルマガを再配信してくださることは、ありがたいことです。
そんなふうに喜んでいただけて嬉しいです!