簡単な曲だと思っていたのに(ビデオ付き)
バッハのインヴェンション第4番。あなたがピアノを弾けるなら、たぶん弾いたことがあるでしょう?
私はピアノを習い始めるのが小学校6年生と、ずいぶん遅かったです。でもその2年後にはこの曲を弾いていました。
先日、毎週おこなっているビデオ収録にこの曲を選びました。ちょっと他の仕事とか家の用事とかで準備が遅れていたので、そんなに練習に日数をかけなくても大丈夫な曲にしようと思ったんです。まあこの曲なら、暗譜は完全だし、寝起き直後のボケた頭でも弾けるくらい手の内に入っているし、って甘く考えていたんですね。
ビデオに収録してYouTubeで世の中に公開すると、この先ずっとそのビデオが私の手を離れて一人歩きします。「八百板というチェンバロ演奏家は、インヴェンション第4番をこう弾くのが最高だと考えています。」というメッセージとともに一人歩きするわけです。なので、上手に弾けるかどうかはともかく、この曲をこう考えている、という点だけはいつもしっかり定めてから収録に臨みます。
で、あらためて丁寧に解釈をやり直してみて驚きました。今までどうしてあんなにサラッと流して弾いていたんだろう? これはもしかして、そんな軽い曲とは全然違うのかも。
疑念が湧いたままでは練習も進みません。過去40年間続けてきた弾き方を自分で否定して、それを上回る説得力のある解釈を見出して、それを実際に演奏できるまでに手の内に入れる必要があります。
結局、収録予定だった先週末には練習が間に合わず(指は動いても、音楽として自然にまとまるかはまた別ですからね)、火曜日にやっと収録にこぎ着けました。
では、その成果をお聴きいただきましょう。この年になっても、こんなに基本的な曲の弾き方がガラッと変わってしまうこともあるんですね。
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いきなり失礼ですが、八百板さんは、今年54歳でしたでしょうか?
音楽の解釈の仕方は、「作曲者と同じ歳になった、もうこれで完成」ということはなくて、
40歳の時には40歳の演奏家として最善の解釈をし、50歳の時には50歳の演奏家として、
そして将来は60歳、70歳…と、演奏家として活動を続ける限り、
バッハがこの曲に込めた真意を聴く人に伝えるために、より説得力のある解釈を
探求していくことこそが、演奏家の使命であろうと思います。
時にはその解釈が、Youtubeで低評価を受けることがあるとしても、
八百板さんが今の時点で、八百板さんにとって最善の解釈をして演奏することが、
天国にいるバッハの意にかなうことだと思います。
はい、54歳です!
嬉しい励ましの言葉をありがとうございます。
私はフルートを吹いていますが、カルメンの間奏曲なんかはとても難しいと感じます。音が少ないのでどう表現すればよいのか、基礎力なんかが問われると思います。
発表会ではよく初心者の方が吹いていますがそんな簡単なものではありません。
簡単な曲はないのですね。
コメントありがとうございます。
お気持ち、すごくよく分かります!
「簡単は曲はない」とは、名言ですね。
楽譜どおりに音が出せて、そこから先が問われるんですよね。