なかなか手ごわい!イタリア協奏曲(ビデオ付き)
いやはや、なかなか大変な曲でした!
先日、ついにバッハの「イタリア協奏曲」の第1楽章を収録したんです。ついに、というのは、バッハのチェンバロ曲の中でもとても人気が高いこの曲を、ずーっと先延ばししてきたからです。先延ばしの理由は、ズバリ、難しい曲だから。
演奏時間は5分ですから、そんなに長いわけではありません。でも、テンポが速めなので、楽譜にすると7ページあります。バッハで7ページというのは、とても長い部類に入ります。
「協奏曲」というだけあって、演奏効果の高い華やかな曲です。難しい音符も山盛りです。それでも、私はこの曲をもう40年くらい弾いていて、もう隅々まで完全に覚えてしまっています。まあ少々間違えてもいいなら、いつでも弾ける曲のリストに入っていました。
ところがです。私のバッハ演奏に対する基準が、この2年間で大きく変わっていたんですね。「いつでも弾けると思っていたけど、全部やり直しじゃないか!」
そう、今までの私は「何となく弾ける」ことで満足していたのです。でも今は違います。音符が1000個あれば、そのすべてについて「こういう理由で、こう弾くのが最善だと思う」と解説するビデオを作っているのですから、何となく弾く音符は一つもあってはならないのです。
すべての音の弾き方を一旦白紙に戻して練習をやり直し、その結果を2時間近くもの長さのビデオで解説しつくしました。
そして曲の通し演奏の収録が始まりました。
レコード会社が製作するCDなどと違って、何回か録音した音源の良い所だけをつなぎ合わせるなんていう事は私の設備ではできません。いい感じに演奏が進んでも、とんでもないところで大間違いしたり、解説した内容を演奏によく反映しないで何となく弾いてしまったり。その都度曲の始めからやり直しです。
結局、1時間20分もかけて、ようやくまともな演奏が1回録画できたというわけなんです。
これでもまだ気になる所が一杯あるんですけどね。そういうことも全部含めて、今の私が弾けるイタリア協奏曲ということです。
どうぞお聴き下さい。
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1時間20分でできるのは先生だからです。普通なら何日もかかる。。。
先日マタイの一部をピアノでひいて、プロのオルガニストに直してもらったのですが、彼女は音符の長さに忠実にというポリシー、わたしは好きなリヒターが先にあってそのメロディーにひきずられるので(たぶん人声を優先ということなのだと思いますが)音符忠実(これのみなら機械演奏が一番うまい)に比較して長短が収斂する傾向にあるようです。もっとも彼女のいうように、まずは音符長さ忠実にひけて、それからアゴーギクをいれるというように分析的に段階を踏めたほうがいいとわたしも思います。
このイタリア協奏曲も聞く人が楽しく元気がおきるというよりは、弾く人の練習として、ここからさらに聞く人に合わせようということなのかと思います。2時間のご解説って気合をいれて拝聴せねばと思います(無料公開分ならこの夏に、有料分なら冬にとおもいます)。いつもありがとうございます。
コメントありがとうございます。
どのような手順を踏んでも、最終的に人間的な演奏に到達すればいいんですけどね。一番残念なのは「とりあえず楽譜どおりに」で終わってしまう人が少なくないことです。
おはようございます!
楽譜を置かないで多分こころのままに弾かれておられたのでしょうか。
この曲を初めて聴いたのは約20年ほど前でしたでしょうか。新潟市の
砂丘館でした。このチェンバロで先生の演奏とお話でした。他の曲もあったのでしょうが、イタリア協奏曲だけ「聴いた」ことを覚えています。
これが「トルコ兵が押し寄せてくる足音」かな?など思いながら聴いていました。テーブルの上のお菓子をいただきながらいろいろと皆さんとお話していました。時々「りゅう笛」を演奏していると言われた人はどうしておられるかな?など思い出しています。曲もあの時の場面もなかなか忘れられません。
それではもう一度演奏を聴きます。ありがとうございました!
ありがとうございます。
この曲は7ページもあって、演奏中に譜めくりできないので暗譜で弾きました。
新潟市の砂丘館、なつかしい思い出です。
ipadの自動譜めくりか、高いけどGVIDOでしょうかね、
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B09VP7PQPC/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o02_s00?ie=UTF8&th=1
これは4頁までなら最強なのですが、チェンバロだと無理かも。。。
情報ありがとうございます!
7ページもの楽譜の暗記とはすごいものですね!
音楽家の方々の頭の中はどうなっているのか、不思議に思っています。
そして手は鍵盤の上などを自由に動いて美しいメロデイを奏でてくれます。
見えない努力の賜物でしょうか。
自由に聴かせていただいて、幸せに思います。
私の練習方法では、弾けるようになるまでの過程で自然に暗譜できるようになります。
それでも普段楽譜を置くのは、音を確認するためではなくて、「ここでどのような感情を表現するのか」を忘れないようにするためです。
先日、シャコンヌのテンポについてのブログあったので、テンポのの早い演奏で記憶していたのが中野振一郎さんが1997年に録音したイタリア協奏曲だったので、ヴァルハと合わせて久しぶりにCDを引っ張り出し聴いてみました。
CDを買った当時はだいぶテンポの早い演奏だと思っていたのですが、今聴きなおすと普通に感じられ私の耳も早い演奏に慣れていたのだな、と感じた次第です。
実はこの曲を初めて聴いたのはジャックルーシェでジャズピアノでした。
ピアノだとジャズでスウイングして多少ゆっくり目でも味わいある演奏になります。
気に留められた方は一聴してみられませんか?
コメントありがとうございます。
チェンバロでも、じつはスイングします。ジャズとは異なる方法ですけれど。
ほとんど何もしていないように聞こえても、必ず微妙な揺らぎは加えてあるものです。
そうしないと、自然の一部である人間にとって不自然なものになるからです。