バッハのフーガなのに、どうしてこんなに薄いの?

誤解のないようにお断りしないといけませんね。「薄い」というのは、音楽的内容が空っぽということではなくて(バッハの曲にそんなことありませんよね!)、「対位法が複雑ではない」という意味です。

バッハの音楽って、とにかく対位法が複雑ですよね。他の作曲家、例えばヘンデルなら、大編成の「メサイア」でさえ、大抵の楽章は手元に楽譜が無くたって隅々まで聴き取れます。

それに比べてバッハとなると・・・。ピアノを弾ける人なら同意していただけますよね? まずあの「インヴェンション」からして、たった2声とは思えないほど、左手が右手と全く同じレベルで雄弁なので、弾くのは本当に大変! 聴く人にとっても、高音のメロディーだけ聴いていればいいのではありませんから、決して聴きやすい音楽とはいえないでしょう。インヴェンション全15曲を卒業すると、その次に3声の「シンフォニア」全15曲が待っていて、それも卒業するといよいよ「平均律クラヴィーア曲集」です。その中のフーガは大抵は3声か4声ですが、例外的に5声のフーガまであります。

なのですが、今日ご紹介するフーガはとても対位法が薄いのです。それは、これがリュートのための曲だからです。

バッハは自分ではリュートを弾けなかったようですが、でもリュートの音の特性はよく把握しています。あまり複雑な対位法をリュートで弾くと美しく響かないのです。ですから、バッハのリュート曲はチェンバロ曲に比べて意図的に音を減らす配慮がなされています。

バッハの無伴奏チェロ組曲などでも同じです。元の発想としては3声や4声でも、意図的に音を徹底的に削ぎ落として、見かけはとても声部の薄い楽譜にしています。でもそのことを分かっているチェロ奏者の手に掛かると、たった1台のチェロで弾いているとは思えない、豊かな音楽が聞こえてくるのです。

ではお聴きいただきましょう。前回の続きで、「前奏曲、フーガとアレグロ 変ホ長調 BWV998」から、第2楽章のフーガです。

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