バーンという破裂音とともに(写真付き)

調律をしていたら突然弦が切れました!

たぶん、元々寿命で弱っていたところに、急な寒さで弦が縮んで大きな張力が掛かっていたのでしょう。年に数回起こることなので慣れているとはいえ、やっぱり切れるときはびっくりしますよ。

写真は新しい弦をチューニングピンに巻いたところで、これからこのピンをハンマーで打ち込みます。手袋をしているのは、弦に手の汗が付くとそこだけ錆びて切れやすくなるからです。弦の材質は、このチェンバロの場合は低音域が黄銅、高音域が鉄(焼入れがあまりされていない軟らかめのもの)です。

この後は、ゆっくりゆっくり、ピンを回して張力を上げていきます。急いで回すと勢いで弦が切れてしまうんです。5分くらいかけて丁寧に上げていきます。

新しく張ったばかりの弦はまだ引っ張られるということに慣れていないので、目的の音の高さに達したと思っても、5分くらいですぐ狂います。それをまた調律して、5分くらいでまた音が下がるので、また調律します。こんなことを5回くらい繰り返すと、その後の30分くらいはそんなに狂いません。でも次の日になると、やっぱりこの弦だけ音がかなり下がっているものです。切れたのがビデオ収録の日でなくてよかった!

新しく張ったばかりの弦はピカピカに光っていて、まだ錆びていません。なので、周りの少し錆びている弦とは音色が微妙に違うんです。チェンバロの弦は、うっすらと錆びているくらいのほうがキラキラした音が出るんですよ。新しい弦は何だか「ポーン」とした音です。

弦の音色といえば、バッハの時代の弦はまだ金属の精錬技術が進んでいなくて不純物が多かったので、その不純物のおかげで今よりもっと美しい音が出たらしいんですよ。技術が進むことで音が悪くなるなんて、ちょっと皮肉ですね。

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バーンという破裂音とともに(写真付き)” に対して5件のコメントがあります。

  1. Y.M. より:

    昔の弦の方が今の弦より美しい音が出るということは、初めて知りました。
    調律すら専門家に依頼しなければならないピアノは、もし弦が切れたら
    所有者が自分で張り替えることなど思いもよらないと思います。
    何でも自分で手入れして修理することは、きっと大変なことが多いと思いますが、
    それを「自分でしなければならない」と思うか、
    「自分だけがこの楽器を、自分が最善と思うように手入れできるのだ」と思うか、
    それは楽器を所有するうえで、大きな違いになると思います。

    1. Y.M. より:

      そういえばちょうど2年前の今頃、「チェンバロの弦の張り替え」という記事で
      >新しい弦は錆びていないので、周りの他の弦に比べて音色が少し違います。よく言えば丸い、悪く言えば輝きに欠ける音です。少々の弦の錆はチェンバロの場合には音色を輝かせてくれるので悪者扱いする必要はありません。曲の中で聴く分には大して気にならないというか、気がつかない人が殆どだとは思いますが、これから少しずつ周りの弦と馴染んでいくでしょう。
      ということを書かれていたのを思い出しました。

    2. 八百板 正己 より:

      コメントありがとうございます。
      現代のピアノの弦は、まあ切れるという事は無いと思っていいでしょう。よほど劣悪な環境に置かれることでもなければ。
      調律に関しては私の方がチェンバロ製作家よりもずっと回数をこなしているので自信がありますが、弦の張替え技術は彼らには敵いません。自分でするのは最善とは言いがたいですが、まあ機能上は大した違いではないと思っています。

  2. ソのシャープ より:

    初めまして。先月趣味でチェンバロを買い、今日調律してみたのですが、不注意で低音のソシャープの弦を切ってしまい、あと何故か気がついたら中音のシだけ1オクターブ低くなってしまいました。
    弦につきましてネットで調べたところ、https://www.pianelli.de/saiten-draht-stahldraht-auf-rolle-roeslau.htmlという商品一件だけを見つけたのですが、これはチェンバロの弦で合っていますでしょうか。
    あと、中音のシだけ1オクターブ低くなる現象の原因が調べても分からず、もしご存知でしたら教えていただけますでしょうか。お忙しいところ、質問ばかりで申し訳ありませんが、もしご存知でしたらご教授ください。よろしくお願いいたします。

    1. 八百板 正己 より:

      ご照会ありがとうございます。
      詳しくは個人的にメールをお送りしますので、そちらをご覧下さいませ。

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