チェンバロにふさわしい静かな季節
なんて静かなんでしょう!
秋ですね。気温も湿度もちょうどいいので、私のお城「見附チェンバロスタジオ」では朝から窓を開けっ放しです。外は静かで、秋の虫の声とツクツクホウシの声が遠くから聞こえてきます。休日ということもあってか、人工的な音といえば、たまに車が通るくらいです。
楽器を弾くときだけは窓を閉めますけど(隣が民家なので)、それでもエアコンも除湿機も止めて、とても静かなんです。静かだから、チェンバロの音がとても大きく感じるし、余韻もいつもより長く響いて聞こえます。ああ、私のチェンバロはこんなにいい音だったんだ!
本当はチェンバロのような繊細な音の楽器を練習するなら、一年中こういう静かなところがベストでしょうね。でも、部屋の温度湿度が変わるたびに調律を全部やり直すのが時間の無駄になるので、今の季節以外はどうしても電気機器のお世話になってしまいます。
気温という事で言えば春だって同じなのですが、春は窓を開けると湿度がすぐ70%を超えてしまいます。私はほぼ一年を通して湿度を60%くらいに保つようにしているので、春だと一度換気した後はしばらく除湿機を回す必要があります。(この除湿機がうるさいんです。)
こんな電気機器がなかった昔は、バッハだってクープランだって、いつでも静かな環境で音楽を練習していたんでしょうね。どんな細かい響きの余韻にも敏感になって、素晴らしい練習ができたんでしょうね。
そういえば、空調完備でも機械的な音が全くしない場所がありました。りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)のスタジオAです。真夏でも真冬でも空調の音がしないので(設備にさぞお金をかけたのでしょう)、前からずっとチェンバロのコンサートに愛用してきました。さらに、昨年のリニューアル工事で照明が全部LEDになったので、なおさら静かになったんですよ。コンサート当日には、リハーサルをしていても自分で美しい響きに酔ってしまって、冷静にコンディションを整える代わりに完全燃焼してしまうほどです。
その静かな場所で、もうすぐフルートの浅利守宏さんとバッハのソナタを演奏します。浅利さんとの付き合いは3年になりますが、この会場でご一緒するのは初めてです。機械的な音が全くしない静かな会場で、バッハのフルートソナタがどんなに美しく響くのか、私は今から楽しみでなりません。
コンサートの詳細は以下のボタンからどうぞ。便利な予約フォームも作りました。ご予約をお待ちいたします。
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まず第一に、バロック時代には自動車がなかったこと、これが静けさの大きな理由ですね(笑)
ヨーロッパの夏は涼しいですし、湿度も低いですから、エアコンも除湿器もなくても
チェンバロには適したコンディションだったのではないでしょうか。
木で作られた、温度湿度に敏感な古楽器は、それが作られ、使われていた土地の
気候風土と切り離せないような気がします。
最近、オンラインビデオでサンプルを拝聴しているクラヴィコードは、
静かな環境の中で、チェンバロよりもっと繊細な表現をすることで
その真価を発揮する楽器だと思います。
コメントありがとうございます。
ヨーロッパのどこだったか、由緒ある旧市街は車が一切立ち入り禁止なので、町がものすごく静かなんだそうですよ。