頭の中で鳴る音楽
私はパリのカフェで人々に囲まれて座っているときも、ただ無為に座っているのではない――頭の中でソナタをさらい、常に新たな発見をしているのだ。
アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアニスト)
知人の紹介で最近買った本の中に、すばらしい名言がいくつも出てくるんです。まだ1割ちょっとしか読んでいませんが、あなたにお伝えしたい名言がすでにいくつも溜まっています。
上に紹介したこの言葉、何だか嬉しくなってしまいます。私も今これを書きながら、さっきまで楽譜を見ていた音楽が頭の中に鳴り続けています。こんな自分はおかしいのかと時々思わなくもないですが、「大丈夫、音楽が頭の中に鳴り続けたっていいんだよ」と認めてもらっているみたいです。
でも、偉大なピアニストだった彼の場合はもっと上を行っています。興味を持ってインターネットで調べてみたら、こんな記述がありましたよ。
ルービンシュタインは自伝の中で、「朝食の時、私は頭の中でブラームスの交響曲を演奏していた。その時電話が鳴ったので、受話器を取った。30分後、私は電話で話している間も演奏が続いており、今は第3楽章が演奏されていることに気づいた」と述べている。
wikipedia”アルトゥール・ルービンシュタイン”
ここまでくるとさすがに常識をはるかに超えてしまっていますね! ご安心下さい、私はそこまですごくありませんから。
それにしても、人と会話や電話をしている間ずっと頭に音楽が鳴っているなんていうと、「相手の話をろくに聞いていないんじゃないの?」と思うでしょうね。でも、そうでもないんです。
頭の中の音楽に特別に心を集中させなくたって、楽な気持ちでいてもちゃんとリアルに鳴らせるくらい、このことに慣れているんです。会話をしながら車を運転できるからって、運転がそんなに疎かになってはいないのと同じです。
もちろん私だって、とても難しい問題について話し合ったり、またはすごく嬉しい知らせに歓喜しているときには、たぶん頭の中に音楽は鳴っていないでしょう。頭にその余裕が全然なければ、頭の中の音楽も鳴りません。と今書いていて、「すごく嬉しい知らせに歓喜して」とキーボードを打っていた間、すごく嬉しい知らせを一つ思い浮かべてニコニコしていたので、やっぱり鳴っていませんでした。
頭の中で音楽は鳴らなくても、あなたも人の声なら鳴るでしょう? 本を黙読するときに、あたかも声に出しているかのように頭の中に鳴るのを「脳内発声」などと呼んだりもします。本を読むときに鳴る声は誰の声なのか分かりませんが、身近にいてよく会話をする相手の声なら、かなりリアルに頭の中で鳴らせませんか?
ペットを飼っている人ならペットの鳴き声、バードウォッチングにはまっている人なら数々の野鳥の鳴き声、特定の車種のオートバイを愛している人ならその独特のエンジン音・・・。そういった、その人にとって優先順位が高いものが発する音なら、そんなに頑張らなくても自然に頭の中に鳴らせると思うんです。
ということは、私の場合は音楽の優先順位がかなり高いということになります。しかも、とても難しい問題やすごく嬉しい知らせとかではない普通の会話よりも優先順位が高いから、だから会話の途中でも音楽が鳴るんだと言えるでしょう。
ということは、やっぱり私は人と会話をしているときに、相手の話をそんなによく聞いていないっていうこと?
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パソコンの画面でブログを読ませていただいています。
画面の3/4ほどがブログの記事、1/4ほどがきちんと整理されたブログ一覧の項目が並んでいます。本文を読んでいて右のどれかをクリックするとすぐ別の画面になり深く進んでいきます。今日は「オルガン」をクリックしました。先生の演奏画面になりました。続いていろいろの方の演奏項目が並んでいて終わりがないようです。
きれいに整理整頓された部屋の中に入って箪笥の引き出しをあけたような気分です。
音楽を深くなさる方だから頭の中で音楽が鳴るのではないでしょうか。
嬉しいコメントをありがとうございます。
過去のブログも読み返してくださるんですね! とても嬉しいです。
何か気が付いたことなどありましたら、過去のブログでもいつでもコメント下さい。
おはようございます。
T.H.さんのおっしゃるとおり、やはり
八百板さんは常日頃音楽に接しておられる、しかも聴くだけでなくてご自分の手で演奏するという
能動的に音楽に接しておられるから、音楽が、ご自分の身体の一部、頭脳の一部になっているのでしょう。
コメントありがとうございます。
楽器を演奏しない人の頭の中で、どの程度音楽が鳴るのか鳴らないのか、私には分からないのですが、まあ、他の方々よりたくさん鳴っているのは確かでしょう。
八百板先生。
おはようございます。
ルービンシュタインについて少々。
何度かのやり取りで、私がルービンシュタインの信望者であることはお伝えしました。
私は彼のレコード、特にショパンを擦り切れる位に聴き込んだのでアタマの中がすっぽりプレーヤーとなってしまって、アタマ(なのか心なのか)で再生出来てしまい、聴く必要さえ無くなってしまいました。
寝つけ無い夜は彼の演奏を心の中で鳴らして、私のためだけのショパン全曲リサイタルを堪能します😀。
これだけは、先生がバッハに心酔しているレベルに達しているな、と誇りに思っています。
ただし、バッハは暗譜が苦手だったようで、ブゾーニ編曲のシャコンヌ以外はアーカイブが無いみたいです。
おお、それはなかなかすごいですね!
私の場合はどうも聴き込んだCD演奏がいつのまにか自分流に変化するようです。久しぶりに聴いてみると「あれ、こんなテンポだったっけ?」というようなことはしょっちゅうです。