世界にたった一本のフルート?(前編)

今回のバッハのフルートソナタ全曲コンサートでは、浅利さんは「世界にたった一本かもしれない」という大変貴重なフルートを使ってくれることになりました。さっそくインタビューです。

八百板:

今回のコンサートに浅利さんが使う「ルイ・ロット」というフルートがどれくらいすごい楽器なのか、どれくらい珍しい楽器なのかを教えてもらえますか?

浅利:

「ルイ・ロット」はフランスで代々続くフルート製作家の名前です。彼らが作ったフルートもまた「ルイ・ロット」と呼ばれています。

ルイ・ロット自体、それほど珍しいかといえばそうでは無いです。ただ、今のフルートの造り方と比べると家内制手工業で大量生産の難しい工程で作られたことで、生産本数はとても少ないです。例えば、キィ1つを取っても今では作るのが無理と思われる程小さく薄く出来ていて、今のフルートのキィと比べると一目瞭然です。

金属菅ですと、菅は一つ一つ人の手によって巻いて作られています。これによって、今のフルートには無い通る音を実現させています。そして、歌口も小さく焦点を合わせるのに一苦労します。

さて、私の持っている木製のルイ・ロットはイギリス・ロイヤル・アカデミーの博物館に展示されてあった楽器です。持ち主はフランス・ボルドー地方にワイナリーを持つイギリス貴族の方でした。そこの城の塔に隠されていたフルートで、誰も吹いた形跡が無かったものです。それがとても珍しく、このようなフルートはおそらく世界に一本しか無いでしょう。

八百板:

世界に一本! それは貴重ですね。

浅利:

その持ち主だった貴族の方が博物館に展示されているルイ・ロットを見て、「本来楽器は演奏されるのが本望。このように展示されているのは心が痛む。」と申されました。またまた、偶然私の演奏会を聴かれて、貴族の方が私に吹いてほしいとおっしゃってくださったのです。それはそれは、とても光栄な事でした。

八百板:

世界に一本の貴重なフルートを間近で聴ける私たちもラッキーです。そんな楽器がここ新潟にあるんですね!

浅利:

ただ、私のイギリスの恩師ウイリアム・ベネットはルイ・ロットを改良して演奏される方。「ルイ・ロットは現代風に改良されることにより活かされる」とお考えでした。しかし、一本のコーカスウッドで造られた美しいルイ・ロットに手を加えることを私は拒みました。全く後世の人の手が加わってないルイ・ロットは今一体何本あるのかを考えたら、それはすべきでないと考えました。

それが、今私の手にあるルイ・ロットです。第一次世界大戦、第二次世界大戦を目の当たりにして来た美しいルイ・ロットをそのままの姿で後世に渡すのが私の務めと考えています。

八百板:

恩師との関係が悪くなることも恐れずに楽器を守るとは立派ですね。今でも恩師とは何度も会う機会があるんでしょう?

そのように浅利さんが守ってくれている名器を、今回のコンサートでは新潟の皆様にすぐ目の前で惜しげもなく披露していただきます。この貴重な機会に私も居合わせることができて光栄です。

(インタビューの後編はまた後日のお楽しみ・・・)

 

追伸:
詳しくはコンサートのページをご覧下さい。 世界に一本かもしれない名器を、あなたもご一緒に堪能しましょう。

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