取り替えのきかない役割

ヴァイオリンの風岡優さんと一緒に、1年かけて4回シリーズでバッハのヴァイオリン独奏曲を完全網羅する企画が終わりました。お客様からありがたい感想をたくさん頂戴しました。お褒めの言葉に終わらずにとても深い内容のものが多く、頂戴した私もいろいろ考えさせられました。ここにその一部をご紹介しながら、私の思いを補足します。

バッハの喜び、やさしさ、悲しさ、激しさをたっぷり味わわせていただきました。

(上越市 T様)

音楽を聴いて作曲家の感情を感じるというのは、音楽の聴き方としてとても高度なことですが、とても素晴らしいことだと思います。もうこの世にはいない偉大な人と直接心を通わせることができるのですから。

演奏家として望むのがまさにそのことです。私自身は世紀の大天才ではなくても、ここ新潟の地でお客様が世紀の大天才バッハと直接つながるお手伝いができるのなら、それこそが私に与えられた大切な使命です。

少し前に風岡さんがおっしゃっていました。「バッハの包容力は未熟なものも受け容れてくれる寛容なものだけに、甘んじて考えることを怠れば、その先の奥深く広い世界を知らぬままに終わってしまう。」それは演奏家にとって残念なだけでなく、お客様がバッハの心を感じる機会を奪うことでもあると思うのです。演奏家の責任を感じます。

 

演奏を聴く、というより音楽を学び演奏し続けてこられたそのこと(人生)に学ばせて頂きたいと思いました。とてもていねいに演奏されている姿から、語るものはまず聴くこと・・・の大切さを思わされました。

(燕市 Y様)

私も風岡さんの演奏(特に50年間弾き続けてきたという無伴奏)には人生の重みを感じました。だって、50年間といえば私が生まれたころからですよ。この部分の演奏テクニックが、とか、あの部分の解釈が、とかいう事をみんな飛び越えて、まっすぐこちらに届くものがありました。

 

先生方の演奏を聴いて本当に大切なものを再認識できました。初心に帰って自分を見つめ直すこともできました。感謝いたします!

(村上市 K様)

この方の感想には具体的なことは書かれていませんが、もしかして何か迷いや苦労をお持ちだったのかもしれません。演奏者が知らない所で、演奏者が意図してもいない手助けができたのだとしたら、音楽の力のすごさに驚くばかりです。

 

たくさんの感動をありがとうございました。

(新潟市 F様)

前から今日の演奏会を楽しみにしておりました。毎回素晴らしいバッハの世界に導いていただき本当に感動しております。

(新潟市 S様)

音楽を聴いて「いい曲だ」とか「上手に弾けてる」というレベルを超えて、「感動した」という言葉をいただけるのは本当にありがたいです。でも正直なところ、戸惑ってしまうのです。だって、この曲は本当はもっともっと違うのです。理想の姿はこんなものではないんです。

かといって、世界的な奏者によるお勧めのCDがあってそれが理想の姿なのかというと、そうではないのです。私にとっての理想は私の頭の中にしかありません。それをどうにかお伝えしようと思えば、私が弾くしかないのです。

 

東京から来て本当に良かったです。おふたりの素晴らしいバッハでした。

(江戸川区 Y様)

ほかにも、全4回とも横浜からおいで下さったお客様もいらっしゃいます。本当にありがたいことです。だって、東京や横浜には音楽大学のチェンバロ科の教授もたくさんいるし、国際コンクールで賞を取ったチェンバロ奏者だってたくさんいるんです。それをわざわざ遠路新潟まで聴きに来てくださるなんて。

 

「取り替えのきかない役割を私にも果たすことができる。」音楽家としてこれほど幸せなことはありません。

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取り替えのきかない役割” に対して1件のコメントがあります。

  1. Y.M. より:

    お疲れ様でした。
    ずっと前の記事「あなたも私も世界一」に書かれていたことと関連しますが、
    名だたるヴァイオリン奏者もチェンバロ奏者も大勢いて、いつでもすぐリサイタルを聴きに行ける
    横浜に住んでいながら、それでも遠路はるばる新潟まで聴きに来てくださるお客様にとっては、
    八百板さんこそが、取り替えのきかない役割を果たしている、まさしく「世界一」だったのでしょう。

    1. 八百板 正己 より:

      昔の記事を覚えていてくださってありがとうございます。本当に、全4回とも横浜からおいでくださるとは、音楽家冥利に尽きます。

  2. 家合映子 より:

    「取り替えのきかない役割を私にも果たすことができる。」‐心に残りました。
    そして、(演奏会では)八百板先生のチェンバロ演奏も素敵でした。そして奥様も💎!ありがとうございます。

    1. 八百板 正己 より:

      ご来場ありがとうございました。
      家合さんも新潟バッハ管弦楽団&合唱団で取り替えのきかない役割を立派に果たしていらっしゃいます。これからもよろしくお願いします。

      1. 家合映子 より:

        なんと有り難いお言葉・・。こちらこそよろしくお願いいたします。

  3. T.H より:

     FBを見ていましたら、大江戸バロックの大塚直哉さんと桐山建志さんが、今夜近江楽堂でバッハの
    ヴァイオリンとチェンバロのための全曲演奏の最終回(全3回)があると出ていました。
     
     八百板先生と風岡さんの演奏会と同じ曲が出ていました。私は4回全部は行きませんでしたが、
    新潟にいて同じバッハの曲を聴かせて頂いたのだと嬉しく思いました。

     会場にいるときは演奏に集中して「いいなあ」とか「きれいだなあ」と思ったり感じたりして
    いますがすぐ忘れて、私の頭はそのメロデイを再現してくれません。CDを聴いて復習したりしています。

    いつかきれいなメロデイなど再現出来るようになりたいものですが、生まれ変わった時でしょうか。

    1. 八百板 正己 より:

      ご来場ありがとうございました。
      頭の中で音楽を鳴らすのは、練習によって少しずつできるようになることです。今度すこし実験してみましょう。

  4. 塚田泰司 より:

    貴重な演奏会ありがとうございました!!

    1. 八百板 正己 より:

      こちらこそ、遠いところをご来場ありがとうございました。

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