私たちを見てください

思えば長い道のりでした。

新潟県人の力でバッハの主要な大曲をすべて演奏する事を目指して、2015年に私が呼びかけて結成された新潟バッハ管弦楽団&合唱団。

結成の年の秋の公演で、バッハの「ヨハネ受難曲」から4曲を抜粋で演奏しました。

翌年(つまり2年前)の秋、会場を1900席の「りゅーとぴあ」コンサートホールに移して、今度はヨハネ受難曲の後ろ3分の1にあたる13曲を演奏しました。正直に白状すると、あの頃の私たちにはこれが精一杯でした。難曲として知られるヨハネ受難曲を全部通して演奏することなど、とても考えられませんでした。

それから2年、私たちは県内各地で5回の公演を重ね、昨秋からはヨハネ受難曲の残りの部分も少しずつ抜粋で演奏して、経験を積んできました。

そしてこのたび10月14日、通算11回目の公演にして、ついにヨハネ受難曲の全曲演奏に挑戦するのです

 

でも・・・、

「コンサート全体が一つの曲なんて、変化がなくて退屈だろう」とおっしゃいますか? そのお気持はよく分かります。私でさえ、この曲を良く知るまでは同じように思っていたのですから。

でも今ははっきりと「決して退屈させません」とお約束できます。手に汗握る緊迫のドラマなのです。イエス・キリストの逮捕、連行された総督官邸での取り調べ、総督はイエスを釈放しようとするのに、荒れ狂った群衆が死刑を求めて叫び続けたために、死刑が確定して十字架にはりつけになり、ついに息を引き取ります。その物語の進行の折々に挿入される、全員で奏でる祈りの賛美歌、そして決定的場面を静止画のように切り取る独唱アリア。300年も前に作られたとは思えない、新鮮な驚きに満ちた傑作です。

 

新潟県内の合唱団の中にも、ヨハネ受難曲の全曲演奏を経験した団体はいくつもあるそうです。ですが、それらはほとんどすべて、本番の直前になって首都圏などからプロのオーケストラと独唱者をお金で呼んでいます。私たちのように、毎月の練習で管弦楽と合唱と独奏と独唱が合同練習するというのは、全国的にも極めて稀なことです。

ヨハネ受難曲を上手に歌う合唱団はいくらでもあるでしょう。首都圏から呼ぶプロのオーケストラも上手に演奏するでしょう。ですが、バッハがこの曲を指揮したときのように、管弦楽も合唱も独奏も独唱も、いつも一緒に練習を重ねて得られる相互理解と一体感は、上手かどうかとはまた別の大切なことだと思うのです。

私たちはこうして管弦楽も合唱も独奏も独唱も一体となった活動を続けるにつれて確信しました。バッハの気持ちを本当によく分かるには、この方法が理想なのだと。

 

もちろん、こんな全国的にも稀な活動を市民団体として続けるのは大変です。今回は舞台の中央にもう1台のチェンバロが増えて、2台のチェンバロと1台の小型オルガンが陣取ります。このことだけでも、私たちがこの活動に取り組めるのは数々の幸運の積み重ねのおかげだと感謝しています。

そんな稀な活動を、でも理想的なバッハ演奏のあり方を、新潟県人が集まる私たちが、ここ新潟から全国に発信します。あなたにはその証人となっていただきたいのです。

曲を聴くだけでなく、私たちを見てください。

 

コンサートの詳細はこちらからどうぞ。

あなたからの嬉しいご連絡を心からお待ち申し上げます。

 

追伸:

新潟バッハ管弦楽団&合唱団は、設立時の公約にしたがって、6年後には解散する計画です。これからの6年間で、今回のように「りゅーとぴあ」コンサートホールで公演を行えるのは多くても2回が精一杯でしょうか。ヨハネ受難曲をここで演奏するのは、もちろん最後となります。

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私たちを見てください” に対して1件のコメントがあります。

  1. T.H より:

    ヨハネ受難曲、世界中のいろいろな国の人々がこの曲を演奏しておられるので、その方々と肩を並べて演奏されるのですから、ワクワク、ドキドキ、ハラハラしておられるかな?と思います。

    新潟県人だけでバッハ管弦楽団&合唱団をつくられると知った時は本当に驚きました。

    あれから3年、4年目に入るでしょうか。先生初め団員の方々の努力が一つの節目を
    今回迎えられます。雨、風、台風、その他をいくつも乗り越えて10月14日を迎えられることをまずはお祝い申し上げます。一緒に練習すること自体が一番の喜びであると思いますが観客の一員としていくらか分けて頂こうと楽しみにしております。

    どうぞお体に気を付けてお過ごしくださるよう願っております。

    1. 八百板 正己 より:

      温かい応援のお言葉、どうもありがとうございます! 本番まで残された一週間あまりを精一杯がんばります。ご来場を心からお待ちいたします。

      1. T.H より:

        会場へはあの素敵なちらしも持って行きたいと思っています。今回のちらしは何故かヴァチカン宮殿のミケランジェロのピエタが思い浮かびます。

        1. 八百板 正己 より:

          ありがとうございます。チラシのデザインは私たち合唱団員の一人です。同じイラストが、当日お配りするプログラムの表紙も飾ります。

  2. 藤田弘一 より:

    地元新潟でヨハネ受難曲の演奏を聴けること自体、大きな喜びです。
    当日は友達と3人で、耳と目を楽しませに伺います。
    成功裡に終えることを、祈っています。

    1. 八百板 正己 より:

      嬉しい応援のお言葉をありがとうございます。
      ご来場を心からお待ち申し上げます。

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