過ぎたるは及ばざるが如し?
私のお城「見附チェンバロスタジオ」でのことです。
お客様にお送りする手紙を書く作業に没頭していました。ふと気がつくと、いつの間にか蚊に刺されて、足が豪快に腫れているではありませんか。「これはさぞかし、蚊は余裕たっぷりに蟻酸を注入して、余裕たっぷりに血をたくさん吸ったことだろうな」と思って、でも過ぎた事は仕方がないのでまた作業に戻りました。じゅうぶんに血を吸った蚊は、それ以上は人を刺そうとしないものです。
さて、作業が一段落付いてお茶を入れるために立ち上がろうとすると、足元に蚊が死んでいます。ゴミ箱に捨てようと指でつまみ上げたとき、蚊が動きました。死んでいなかったんです。でも指でつまんだ拍子につぶれました。
何という浅はかな。飛べなくなるまで血を吸うなんて、吸い過ぎです。こういうのを「過ぎたるは及ばざるが如し」って言うんですよね。
そういう私自身はどうでしょう?「過ぎたるは及ばざるが如し」のようなことをしていないでしょうか?
今思い当たることと言えば、「バッハの美しい弾き方講座」のために収録しているビデオです。演奏時間2分くらいの短い曲でも、その10倍とか20倍とかの長時間をかけて、ひたすらしゃべって弾いて、の繰り返しです。もしかして私の話が長すぎて敬遠されて、この講座を誰も見てくれなくなるなんていう事は起こるでしょうか?
これでも、あまりに細かいことは話さないように我慢しているんですけど。でも調子が乗ってくるとつい、関連する文化的な事柄に脱線したりして、やっぱり長くなってしまうんですよね。
まあ、ビデオはコンサートなどと違って途中を飛ばしたり倍速再生したりできますから(今YouTubeでは0.25倍速から2倍速まで選べるようになっています)。私はとにかくたくさん解説した上で、ご覧になる方に見方をお任せしましょう。
追伸:
「バッハの美しい弾き方講座」には、会員でなくてもどなたでも私のバッハ解説をご覧になれる「今月の無料ビデオ」というコーナーがあります。今月の曲「リュートのための前奏曲ハ短調BWV999」は、あと数日で別の曲に差し替えます。今後は会員にならないと二度とご覧になれませんので、今のうちにどうぞご覧下さい。このビデオは収録時間22分と、そんなに長くありませんよ。
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おはようございます。
八百板さんの「バッハの美しい弾き方講座」は、20年かかる計画と伺っていますが、
あまり最初からハイペースでビデオを作成していて、もし途中で
燃え尽きてしまったら、これこそ「過ぎたるは及ばざるが如し」ではないかと、
いささか気になるところです。
ご心配ありがとうございます!
「7月公開までにたくさん収録しないと」と思ってハイペースでやってきましたが、先週くらいからしっかりペースが落ちています(わざと落としたわけではないのですが)。たしかに、体を壊すようなことをしては元も子もないですし、義務感で収録してもろくなものができませんから、新鮮な感動を覚えながらできるペースで続けていきます。