常軌を逸している!でも感動!
あまりにも有名なバッハの「半音階的幻想曲とフーガ」。これがもし有名でなかったら、聴いた人の誰もが「こんな常軌を逸した曲を、バッハが書くわけがない!」と思うでしょう。
と偉そうなことを言って、じつは私は子供のころはよく理解していなかったんです。
ピアノの先生と喧嘩して、中学卒業と同時にピアノ教室を飛び出した私。
「これからは好きなだけバッハを弾けるぞ!」と喜び勇んで、バッハの楽譜を買い集めました。そして、我流のピアノで弾き散らかしました。その中にこの「半音階的幻想曲とフーガ」も入っていたんです。
「なんかグチャグチャと聴き慣れない和音だけど、ものすごく速く弾いて腕自慢できるところも多いからカッコイイ!」その程度です。
「どうしてここだけ和音が薄いの? もっと、分厚い和音をガンガン弾いた方がカッコイイのに・・・」バッハの曲に注文を付けるなんて、身の程知らずというものです。
あれから40年、前半の「幻想曲」をついにビデオ収録しました。
今の私は、減七の和音を聴くと胸が苦しくなります。増音程や減音程を聴くと胸が苦しくなります。異名同音転調を聴くと胸が苦しくなります。それらを自分で弾くならなおさらです。
さあ、この曲は?
試しに減七の和音を数えてみたら57回出てきました!(多すぎて、数え忘れもあるかも)
常軌を逸しています!
でも、今だから自信を持って言えます。この曲は「受け」を狙った曲なんかではありません。バッハの本音そのものです。
そのバッハの本音と真正面から向き合って1ヶ月、では練習が間に合いませんでした。1ヶ月半。「今の自分にはこれ以上は無理かな?」と区切りを付けて収録した次第です。
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