バッハの行進曲は四分音符=120ではダメなの?

私は小学生のときに学校の鼓笛隊に入っていました。演奏する行進曲のテンポがぜんぶ四分音符=120なものだから、もう頭の中にこのテンポがしっかり刻み込まれてしまいました。

でもこの120のテンポが頭に入っているというのは、拍を2つずつまとめて数えれば60なので、なかなか便利でしたよ。つまり、1秒の長さが時計を見なくても正確に測れるんです。今でも頭の中で60秒数えて時計を見ると、誤差数秒以内です。

ところが、バッハの行進曲をこの四分音符=120で演奏すると破綻します。バッハだけではありません。ヘンデルもそうだし、もう少し後のベートーヴェンだってそうです。今では当たり前と思われている四分音符=120ですが(試しにYouTubeで「行進曲」と検索して「行進曲メドレー」みたいなのを聴いてみてくださいね。見事に120ですよ!)、昔は全然違うテンポだったんです。

どういう事かというと、「誰が歩くための行進曲なのか?」が違うのです。

四分音符=120で演奏される行進曲(みんな19世紀以降の新しい曲です)は、「下っ端の兵隊さんたちが行進する」ための音楽といえるでしょう。だから運動会や各種の競技大会などの入場としてふさわしいわけです。それに対して、バッハの時代の行進曲はもっと偉い人たちのためのものです。国王とか、将軍とか、近衛兵とか、四分音符ではなくニ分音符でゆったりと堂々と行進します。

今日お聴きいただく行進曲は、「アンナ・マグダレーナ・バッハの小曲集」に含まれるもので、バッハの次男エマヌエルが子供のころに作ったと考えられています。たった2声で書かれてはいますが、将軍などの偉い人たちが行進する様子をイメージして弾けば、子供用の練習曲では片付けられない魅力があることに気が付くと思います。

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バッハの行進曲は四分音符=120ではダメなの?” に対して2件のコメントがあります。

  1. 堤ひろみ より:

    素敵な演奏をありがとうございます。コロナ禍で憧れのチェンバロをと考えたのですが、調律が大変って言う事を音大出身の友人から聞き、古いピアノ〜プレイエルを手に入れました。
    ピアノは若い頃に弾いたきりで、ブルグミュラーとバッハの小品集とハノンとチェルニーを約1年少しずつ弾いてリハビリ。
    小さい頃にわからなかったバッハの魅力を味わっています。
    この曲もほんと素敵です。
    先生とのお出会に感謝して、少しずつ指の動きを滑らかにしていきたいです。

    1. 八百板 正己 より:

      堤様、コメントありがとうございます。
      プレイエル!すごい楽器を手に入れましたね!今の大量生産の楽器と違って、職人が部品の一つ一つを丁寧に手作りしていた楽器でしょう。演奏するときは、一つ一つの音を丁寧に弾くように心掛けてください。そうすれば易しい曲でもとてもいい音楽になります。

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