チェンバロにもストーブ(写真付き)
楽器製作家の方が見たら泣くかもしれませんけれど、チェンバロの下に電気ストーブを置いて温めている写真です。
毎月2回、新潟市内にチェンバロを運び込んで出張レッスンをしています。チェンバロは前夜のうちに車に積んでおきます。ここ数日で急に冷えてきましたよね。一晩中寒い車の中に置かれたチェンバロはギンギンに冷えています。新潟に着いて楽器を組み立てても、普通に部屋の中に置いていたのでは楽器が温まって温度が安定するまでに3時間以上かかってしまいます。その間は調律をする端から狂い続けるので調律しても無駄で、レッスンどころか練習すらできません。
そこで活躍するのがこの電気ストーブ。チェンバロの底板を赤外線で温めてしまえば楽器全体が一気に温まって安定するのです。10分くらいでいい感じに温まります。3時間とは大変な違いです。今回も最初の生徒さんがいらっしゃる1時間前に会場に到着して、30分でチェンバロを搬入して組み立てて、10分温めて、15分で調律して間に合いました。
この方法に気付いたのはたしか10年前くらいだったと思います。それまでは、冬は楽器の組み立てから調律開始までのこの3時間がどうしようもなく無駄でしたね。今では他の季節と何ら変わらずに真冬でも大丈夫です。
この電気ストーブは私が大学院を終えて一人暮らしを始めた年に買ったので、もう28年間の付き合いです。シンプルで壊れる所がないので長持ちしています。これからも余程のことをしない限り壊れないんでしょうね。
変な話ですけれど、私はチェンバロを運ぶときにこのストーブも一緒に車に積み込むようになると「ああ、冬が来たなあ」と感じるんです。これを積み忘れると大変なことになります。調律道具と並んで、ぜったい忘れてはいけない持ち物です。車に積んだチェンバロと車との間に、ちょうどこのストーブの形をした隙間ができるので、積む場所も決まっています。
何か楽器をなさる方、あなたにとって楽器関連の「ああ、冬が来たなあ」と感じることは何ですか?
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こんにちは
いつも読ませて頂いてます
札幌も寒さが厳しいです
私はクラリネット、三味線、アコーディオンを使い音楽療法をボランティアでしてます
おっしゃるように温めをしませんと
ひどい音です
札幌の雪祭りのとき
野外で吹奏楽をしますが
楽器にビニールをかけてました
ご苦労な事でした
コメントありがとうございます。
札幌の寒さは新潟の比ではないのでしょうね。雪の季節に外で演奏なんて大変すぎます!
チェンバロはデリケートなので、外気に直接当たる場所での演奏はたとえ屋根の下でもお断りするようにしています。
ちょうど去年の今ごろも、チェンバロと電気ストーブの記事を読ませていただきました。
最近のストーブは寝かせて使うことができないから、チェンバロを温めるのには使えない、とも。
古楽器は繊細ですが、シンプルで壊れる所(電子部品のような)がないので、
カミーユ・プレイエルのフォルテピアノやルイ・ロットのフルートのように
百何十年も昔に作られた時の音を、今も奏で続けることができるのだと思いました。
去年の投稿を覚えていてくださって嬉しいです。
チェンバロは壊れないわけではなくて、細かいレベルではいろいろな所が日常的に傷んだり動かなくなったりします。ただそれを日常的に自分で補修しながら使うことができるのが助かります。30年に一度は弦を総取替えするといい、とか、時には大規模なオーバーホールをしたほうがいい、などとも言われます。これはさすがに所有者の手に負えるものではありません。
寒い部屋でピアノを弾いていると、冷えた鍵盤と冷えたペダルから体全身の体温が奪われていくのを感じます。
他の楽器の様に、チューニングを何度もするという手間がないだけ感謝しなければいけないかもしれないですが、鍵盤は常温になるまで時間がかかるので部屋は暖まっても鍵盤はしばらく冷たいままですよね。
冷え切っている時はペダルの冷たさだけでも回避しようと、ノンペダルにしたり指ペダルに変えたりして練習ています。
コメントありがとうございます。
たしかに、鍵盤はなかなか温まりませんね。かつてはあまりに鍵盤が冷えているときは電気ストーブを鍵盤にも当てたこともありましたが、今は早めに暖房を入れることで対処しています。
ペダルは金属なのでなおさら冷たいですね。私はピアノを弾かないのでペダルの細かいことはよく分かりませんけれど、舞台の本番だと思って室内履きをはいて練習するとどうなのでしょう? ペダルの微妙な踏み心地が変わってしまうでしょうか?