瑞々しいとはこのこと(写真付き)
この日ヴァイオリンを弾いてくださった小林光さん(中学2年生)のご家族の方から頂戴した写真です。こんなに寛いだ笑顔をしているのでリハーサル中の一場面かと思ったら、私がプログラムを持って話しているので本番中ですね。
旧栃尾市(現長岡市)の最果ての地「杜々の森」の中に建つガラス張りの建物でのコンサートは今年で10回目です。今年はここにも春の訪れは早く、窓の外は眩しいほどの新緑に輝いていました。ソメイヨシノはもう散っていましたが、その代わり小林さんのドレスが桜色。打ち合わせしたわけではありませんが、バックの新緑とチェンバロの緑色に美しく映えていました。
小林さんと一緒に演奏したのはヴィヴァルディの「四季」から「春」を全楽章です。昨年は第1楽章だけ演奏して、そのときは難しい技巧的なパッセージをいっしょうけんめい弾く姿がお客様の共感を呼びました。今年は全楽章に挑戦してもらいましたが、まるで別人のように上達しているではありませんか!
余裕すら感じさせる安定したテクニックで、舞台の上ではいつも笑顔。第1楽章などは私が想定していたよりずっと速いテンポです。「瑞々しい」とはこういうことを指すんですね。春の訪れの喜びそのものといった演奏でした。
さてこのヴィヴァルディの四季ですが、私は自分が子供のころに夢中になって聴いていたのを思い出しながら演奏しました。まだ小学生だった私は、音楽の教員をしていた叔父から録音してもらったカセットテープ(そう、カセットテープです)を毎日のように聴いていたものです。
本来弦楽合奏でソロを支えるところをこの日はチェンバロ1台ですべてまかなったので、私としては憧れの四季の弦楽合奏を自分の手で弾いたわけです。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが同音連打でずっとソロを支えているところに途中から入ってくるヴィオラ。チェロとコントラバスにここだけ出てくる躍動的なリズムと第2ヴァイオリンの半音階。まだピアノを習い始めてもいなかった当時の私には、将来自分がチェンバロでこの曲を弾くことになるなんて全くイメージできませんでしたが、とにかく憧れだけは強く抱いていたのを覚えています。
コンサートのためにスタジオで一人で練習しているときはそれほどでもありませんでしたが、この日小林さんのヴァイオリンと一緒に弾いた本番は、子供時代の私の憧れがそっくり蘇ったかのようでした。
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素敵な写真で、気持ちが和みました。
ありがとうございます。私も和んだ気持ちで演奏を楽しめました。
小学生の頃の小林さんを覚えていますが、ずいぶん成長されましたね!
多分腕前も心も。笑顔で演奏に臨まれる様子は凄いと思いました。
1台のチェンバロで他の楽器のパートの部分も弾き、伴奏さたのも
滅多にないのではないでしょうか。
ユーチューブに流していただきたかったです。
今回も大成功の演奏会、おめでとうございました!
小林さんはこれからどんどん成長されることでしょう。
「四季」も、おそらくピアノ伴奏用に編曲した楽譜ならたくさん出回っていると思います。
でも自分で総譜を見てチェンバロで弾くほうが自由が利きます。
家内と幸せなひと時を過ごさせていただきました。音楽とガラス越しに見る光景が見事にマッチしていました。
ありがとうございました!!
遠いところからご来場ありがとうございました。美しい自然をバックに演奏できる場所がもっと増えるといいですね。
ヴァイオリンの「若い力」ですね!
八百板さんの生徒さんたちの中から、チェンバロの「若い力」が輩出して、
21世紀のチェンバロ界を新潟から広げていくことを祈ります。
ありがとうございます。私もそうなったら嬉しいですね。