オンライン・ビデオ教材「バッハ最愛の鍵盤楽器クラヴィコード」(新版)
~ バッハの教育用諸作品の本当の美しさを再発見 ~
5.バッハの傑作「半音階的幻想曲」を徹底的に味わう
バッハの傑作「半音階的幻想曲とフーガ ニ短調」の前半の幻想曲について、クラヴィコードを使って表現の可能性を徹底追求しました。
この曲は現代のピアノでもよく演奏され、もちろんチェンバロ奏者にとっても非常に大切な曲です。けれども、主観的な感情をきわめて濃厚に表現できるクラヴィコードでこの曲を弾くと、見過ごしがちな細かい事柄の一つ一つが強烈に浮かび上がってきます。「バッハはこれらの細かいことすべてに、本当はこれほどの意味を込めていたんだ」と気付かせてくれるのです。
●半音階的幻想曲 ニ短調 BWV903/1
- 減七の和音が57回も出てくる!(なので個々には指摘しません)
- 1小節:低音「レ→ド#」、高音「レ→ミ」の旋律を出す(強弱、長さ、アーティキュレーションのすべてを使って)
- 2小節:低音「ラ→レ」、高音「ソ→ファ」の旋律を出す
- 1、2小節:4分休符にフェルマータ
- 3、4小節:各3~4拍は「加速→減速」(以下、和音の分散はすべて同様に)
- 5小節4拍:すごい音程
- 6小節1拍:ナポリ6の和音
- 6小節3~4拍:繰り返しをしつこく
- 8小節2拍:突然の「ソレシ」の開離配分を印象的に
- 8小節3~4拍:繰り返しをしつこく
- 10小節1~2拍:低音の半音階を強調
- 11小節:低音の半音階を強調
- 12小節1拍:下降から上昇への折り返し点は遅く
- 12小節:3拍目で表情を変えて
- 13小節:繰り返しをしつこく
- 14小節3拍:上昇から下降への折り返し点は遅く
- 17小節1拍:突然のシに驚く(上昇から下降への折り返し点)
- 18小節~19小節1拍:高音に「ミ→ファ→ソ」の旋律
- 20小節1拍:上昇から下降への折り返し点は遅く
- 21~22小節:3回のシ♭を出す(1つ目は上昇から下降への折り返し点)
- 23小節1拍:下降から上昇への折り返し点は遅く
- 23~24小節:低音に「ラ→シ→ド#」の旋律
- 24小節後半:複雑な動きは遅めに(4拍目は下降から上昇への折り返し点)
- 26小節1拍:上昇から下降への折り返し点は遅く
- 27小節1拍:下降から上昇への折り返し点は遅く
- 27~29小節:加速しながら、低音のレと高音の半音階を出す
- 30小節3拍:全く分散させずに打ち付ける可能性
- 31小節1拍:上昇から下降への折り返し点は遅く
- 32小節1拍:下降から上昇への折り返し点は遅く
- 32小節4拍:急ブレーキ
- 33~42小節:全体に神秘的に遅く、意味に応じて不規則に緩急をつける
- 42小節後半~43小節:漂うように
- 44~48小節:突然のファ#から一気に激しく
- 49小節3拍~:リズムは自由に、休符は長めに、2つの8分音符はスラーを強調して
- 52小節2拍:ゆっくり分散
- 53小節2拍:速く分散
- 54小節2拍:分散しない
- 55小節2拍:意外な和音なのでゆっくり分散
- 56小節2拍:予想通りの和音なので速く分散
- 57小節2拍:異名同音転調する和音なので呆然と不規則にゆっくり分散
- 58小節1~2拍:楽譜にしたがって流れるように分散
- 58小節4拍:2つの8分音符はスラーをつけて「ため息」を表現する
- 60小節1~2拍:4声の対位法を整然と弾く
- 60小節3拍:突然荒れ狂ったように
- 62小節2拍:突然のラを強調
- 63~64小節:高音の3度飛び出た音を旋律として出す
- 65小節1拍:下降から上昇への折り返し点は遅く
- 65~66小節:低音の5度跳躍した音を旋律として出す
- 69小節1拍:分散せず激しく
- 69小節3拍:ゆっくり分散
- 70小節1~3拍:対位法だが激しく
- 70小節4拍~73小節:上下の動きに応じて緩急をつける
- 74小節3~4拍:曲の終わりを予想させて堂々と弾く
- 75小節3拍以降:ほとんど全部が減七の和音(メゾソプラノの「ソ」、アルトの「ミ」、テノールの「シ♭」から始まる3声部の半音階)
(参考動画は収録準備中)