22ヶ月ぶりに現役復帰(写真付き)
22ヶ月も本番で使ってあげないでいたら、調整に何時間もかかってしまいました。
新型コロナが始まってからずっと、私はバッハだけを演奏して、バッハだけをビデオ収録してきました。その間、この楽器は時々練習に使うだけだったんです。だからきっと機嫌を悪くしたのでしょう。
でも、ずっと気にはなっていたんです。幾つもの音が弱くなって、爪が折れかけているのが分かります。いくつものキーが、ゆっくり指を離すと次に打鍵したときに鳴らなくなって、爪の位置を元に戻すバネが弱っているのが分かります。
14ヶ月前にも一度機嫌が悪くなって直してあげたのですが、今回はもっと不機嫌です。で、まじめに何時間もかけてそれらを全部直しました。理由は、この楽器もビデオ収録に使うことにしたからです。
といっても、バッハには使いません。時代が違いすぎます。この「ヴァージナル」という楽器は、チェンバロの一族の中でも古い時代に使われました。バッハより100年以上も前の音楽にです。
そう、私はバッハ以外のチェンバロ曲もビデオ収録することにしたんです。
バッハを美しく弾くには、バッハ以外のチェンバロ音楽についての幅広い理解がとても役に立ちます。なので、「バッハの美しい弾き方講座」の中に、バッハ以外のチェンバロ曲の解説も加えることにしたんです。詳しい解説は講座の会員限定公開ですが、曲を通して演奏した部分だけを切り取って、誰でも聴いていただけるようにしました。
では、直したばかりのヴァージナルの音を聴いてください。素朴な音でしょう? 曲はルネサンス時代のイギリスの作曲家バードが作った「アルマンド」です。「アルマンド」といっても、バッハのようなゆったりと流れる曲ではありませんよ。アルマンドという踊りが現れたばかりの、とても元気で楽しいアルマンドです。バッハと共通する所はどこか、バッハと違う所はどこか、問題意識を持って聴いてくださいね。
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おはようございます。
使わないでいると機嫌が悪くなるなんて、木でできた楽器は、まるで生き物ですね!
バッハの音楽を美しく演奏するために、バッハ以外(ルネサンス以来の伝統の音楽だけでなく
ヘンデルやテレマンやスカルラッティといった同時代人の音楽も)のチェンバロ音楽について
理解を深めることは、とても有益なことだと思います。
バッハはオペラを作曲しませんでしたが、モンテヴェルディ・リュリ・ヘンデルといった
各国のオペラの影響も、バッハのチェンバロ曲に見出せるかもしれないと思います。
コメントありがとうございます。
オペラの影響はもちろんバッハにも大いにありますよ。
典型はカンタータですが、チェンバロ曲なら遅い曲でのイタリア式装飾音ですね。
あけましておめでとうございます。ヘンリー8世の時代かなあ、宮廷音楽だったのでしょうか、うちにも電子チェンバロがあるからこういうのをやってみたいです。
惜しい!ちょっと時代が違いました。エリザベス1世の時代です。
それにしても、ヘンリー8世のことをご存じとは、幅広い教養をお持ちですね。
アンブーリンとかトマスモアとかウルジとか、イギリスのこどもテレビ番組のキャラですので。。。きょうの涙のパヴァーヌもほっとします。
そうでしたか。私、テレビ番組には疎いので知りませんでした。
ヴァージナル という楽器 そして
音色を初めて知り 聴くことができました。
アルマンドは軽いホップが入ったダンスで この曲ならステップがあてはまる気がしました❗️
バッハの組曲の中のアルマンドは リュートの奏法を取り入れ 流動的で跳び跳ねる感じがありませんし、バロックダンスの作品にも 一つしか残されておらず かなり陽気で元気よく 貴族的な振り付けではありませんでした。
音色に関しては 重厚な響きに感じました。
それにしても 弾かないでいると機嫌が悪く
あちこち手入れが必要になるなんて 管理維持していくことの大変さを知りました❗️
様々な楽器 演奏スタイルを見せて頂けて とても面白いですし イメージな膨らみます。
簗木様
コメントありがとうございます。
バッハのアルマンドとリュート様式の関係や、フランス宮廷で一つだけ記録が残ったアルマンドの舞踏など、とてもお詳しいのですね!
こういう形でお話しできて嬉しいです。