バッハが「24」に込めた意味とは?(ビデオ付き)
通称「グノーのアヴェ・マリア」はとても有名ですが、その前奏曲に続くフーガのことはご存じですか? 今日はそのフーガの秘密に迫ってみましょう。
このフーガ、やたらに主題が出続けます。いつでも主題が鳴り続けている感じです。耳だけではとても追えないので、楽譜を持っていたら数えてみましょう。なんと、24回も出てくるんです。
曲の中ほどを過ぎて、かなりゴチャゴチャした感じになる所では、ちょっと強引なんじゃないかと思うくらい主題を登場させていますから、たまたま24回になったというわけではありません。バッハはこの24という数字にどういう意味を込めたのでしょうか?
そんなに主題がたくさん登場するのに、曲の長さはたったの27小節しかありません。主題の長さが1小節半ですから、曲の始めから終わりまで主題でぴったり埋め尽くしても36小節必要です。計算が合わないですね?
その合わない計算を可能にするのは、フーガに時々使われる、ある作曲技法です。しかもバッハは、その技法を信じられない密度で駆使しているのです。
耳で追っただけでは決して理解されないようなことまでも曲に込めるバッハ。彼の真意は、私たちの方から積極的に働きかけることでようやく見えてきます。学んでも学んでも、バッハの音楽はいつも新しいことを教えてくれます。
では、「24」の意味、それを可能にする作曲技法の答はこのビデオでどうぞ。
信じられない作曲技法を駆使した、そのフーガの演奏もお楽しみ下さい。
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CD💿️のライナーノーツには、ハ長調のダイアトニック上の音すべてから主題が出現する、とは良く解説されていますが、24回も弾かれるとはビックリです。
しかも主題は必ずしもイオニアンとは限らず、様々なモードを形成し、アノン練習曲的な赴きを見せることさえある。
プレリュードが超シンプルな和声変容なのとは余りに対照的なのに、ちゃんと統一感を感じられるのが不思議です。
このフーガのストレッタの音程は、5度(4度)だけでなく、6度(3度)や7度(2度)や8度も使われます。それで、大して転調していないのに、ドレミファソラシの全ての音から主題を始めるという信じられないことも可能になっているんですね。