17年ぶりに聞きました

夜の8時、バッハの練習を終えて、ちょっと気分転換にチェンバロスタジオの周りを散歩していました。すると、裏山の方から聞き覚えのある声が聞こえるではありませんか!

「ホーホー(数秒間の沈黙)ホホッホホーホ」

フクロウです! 17年ぶり! 懐かしい! こんな所にもいるんだ!

17年前の5月、それまで栃尾という所のものすごい山奥に一人で住んでいた私は、縁あって三条市に住む女性と結婚して移り住みました。そこには楽器を置く場所が無かったので、隣の見附市内の空き物件を改装してチェンバロスタジオを開きました。栃尾の山奥では家の中にいてもしょっちゅうフクロウの声は聞こえましたが、三条も見附も開けた所なのでフクロウの声なんてとんでもない、と思っていたのです。

懐かしい声を聞いたことで、その頃に感じていた気持ちがいっぺんに蘇りました。大自然の懐に抱かれながら、人知れずチェンバロを勉強する日々。音楽家になる前から、いえ学生時代からずっと憧れていた桃源郷のような環境でした。ただし、生きるために必要な「収入を得る仕事」ということと全く矛盾するそんな環境にいつまでもいられるわけがなく、三条そして見附という街に出てきたわけです。

それが今、新型コロナのために私は人と直接会う活動ができなくなって、インターネットを使った情報発信に切り替えています。これからもずっとこういう活動をメインに続けていくなら、フクロウの声が毎日聞こえるような山奥の生活にまた戻ることだってできるのかもしれませよんね。

さて、「懐かしい音」ということで、個人的に今まで収録したバッハの曲の中で一番懐かしい曲をどうぞ。これは高校生の時に自分で勝手に楽譜を買ってきて、レコードもなにも聴かずに自分で楽譜を読んで弾いていた曲です。もちろん今の私はその当時とは全然違う弾き方をしますが、それでもこの曲を弾くと高校生時代の自分を思い出すのです。

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17年ぶりに聞きました” に対して8件のコメントがあります。

  1. 長野なお美 より:

    八百板先生、おはようございます!
    フクロウの声で17年前の気持ちが
    蘇るとは‥
    私は先生の演奏で12年前に飛びました‼︎
    脊髄腫瘍(頚椎)の手術の為、
    朝から晩まで家にいた時期です。
    手は大丈夫なのに首がダメだと、
    洗濯物のカゴも持てないのです。
    一日中、読書とバッハ‥
    今,思えば、なんと贅沢な
    過ごし方でしょう♪
    近所の図書館で、
    古い世界文學全集をタダで貰い
    読み耽る日々。
    部活から帰って来た息子に
    「お母さん,怖い‥」と
    呟かれましたが。
    栃尾の生活が貴重だったように
    平均律と意味調べをしながら
    読み進めていた
    自分の存在の重みを感じます。
    忘れないものですね!
    先生の温かい演奏で
    改めて気づきました。
    ありがとうございました。

    1. 八百板 正己 より:

      コメントありがとうございます。
      私は幸いにして今まで大きな病気はしてきませんでしたが、長野さんはその大変な時にバッハの音楽がさぞ心にしみたことでしょう。バッハが持つ力の素晴らしさですね。

  2. T.h より:

     長野さんは大変な病気をされて、それを克服されたのですね!
    世界文学全集は中学時代、学校の図書館に並んでいました。一番高いところにあったので、いつも背表紙だけ見ていました。とても細かい字でしたので眺めただけで他の読みやすい本だけ手にしていました。お読みになられたとのこと、すごいですね!今数冊持っていますがやはり表紙だけ見ている次第です。ここ2,3日花の写真を撮ったりしていてピアノに触った時間は少なかったです。パソコンを開くといつでも先生のチェンバロが聴けるのでとても喜んでいます。時々先生も気晴らしされるといいなどと思いながら。フクロウの声を聞かれてよかったですね。今日は久々にしっかり聴いています。

    1. 八百板 正己 より:

      中学時代の図書館の様子を覚えていらっしゃるとは素晴らしいです!
      私の演奏をそのように楽しんでいただけて嬉しいです。

  3. 芹澤ヨシノリ より:

    拝啓
    八百板先生。
    すると頑張ればフクロウをバードウォッチングすることも可能なんですね。羨ましい。
    ですが拙宅も多摩地区の比較的高台にあるため、真夏でもウグイスの囀りが聞こえる時があり、とても心和みます。
    新宿という副都心中心部から10キロ余りにもかかわらず、緑豊かな自然を保っている調布市に住んでいられるのは、本当に幸福だと感じます。

    1. 八百板 正己 より:

      はい。車を運転中に何度か飛んでいる姿を見たこともあります。
      調布は自然豊かなんですね。いいところにお住まいですね。きっとそれが音楽への感受性を高めてくれていることでしょう。

  4. 星野裕子 より:

    八百板先生の演奏を聴いて、しみじみとした気持ちを込めて弾かれておられるのが良く分かりました。どんな分野でもそうだと思いますが、ストレートにぶつかっていく (それでもなんとか許された) 若い頃より、年月を経て色々な経験を重ねた時のほうが、スムーズにこなせるのは勿論、学んで来た事や見えてくるものも多いのかなと思います。
    17年前というと、長岡リリックや県内で演奏会等をよくされていた頃でしょうか。最近はコロナの影響もあって公演を控えられているとの事ですが、先生が弾かれている緑色のチェンバロをいつも会場に持って来ていらして、生で演奏を聴かせて頂いた頃が懐かしく、いまは動画越しに同じ楽器が見えるのが、ちょっと不思議な感じもいたします。
    同じ17年で自分はどれくらい成長したのか、、、心もとないですが。。。

    1. 八百板 正己 より:

      ありがとうございます。
      年齢が音楽を熟成させるというのは救いですよね。
      いくつになっても広い意味で向上し続けられるのですから。

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