図らずも最長記録更新
先日はバッハの平均律第1巻から変イ長調のフーガの収録でした。4声の充実したフーガですから、いつもよりも解説が長くなるだろうなと思ってはいましたが、まあ見開き2ページに収まっている曲だし、と思って作業を始めました。
この曲は本当に細かいところで演奏の工夫をしたいところがたくさんあるんです。4声部の対位法ですから漫然と弾くと音の洪水になって何が何だか分からなくなるところを、バッハが絶妙に仕組んでくれた仕掛けを一つ一つ演奏に反映させていくと、とっても立体的な音楽になります。解説をしている私自身が「本当にバッハってすごいなあ!」と感心しながら、でもいつもよりだいぶ時間がかかっている気もします。かといって収録中に時計を見たりすると格好が悪いですから、まあ言うべきことは全部言ってしまおう、と割り切りました。
今回は練習に日数をかけることができたので、最後の通し演奏の部分は数回の撮り直しで済みました。じつは、事前の練習不足で収録に臨むと、この最後の通し演奏を10回も撮り直す羽目になったりして、それだけで何十分もかかってしまうんです。幸い今回はそういうことはありませんでした。
で、収録が終わって時計を見てびっくり! 1時間36分もかかったではありませんか!
今まで、複数の楽章を一度に収録して2時間近くかかった事はありましたが、一つの楽章でこの収録時間は最長記録です。次の日の編集作業で余分なところをカットしたりタイトルを入れたりして、最終的に仕上がったビデオは1時間23分で、それまでの最長記録52分を一気に抜き去って記録更新となりました。
こんなに長い解説ビデオを作ってしまって、見ていただけるのでしょうか? どこか削れるところは無いかと思って見直しましたが、どれも言っておきたいことばかりです。会員の方はメニューの「1時間23分」という表示に怖気づいて、なかなかクリックして下さらないかもしれません。まあでも、アップロード先のYouTubeには再生速度を最大で2倍にまで速める機能もあるし、途中まで見て一旦その動画を閉じても、次に同じ動画にアクセスすると前回の続きから再生される機能も備わっています。使う人に工夫していただくことにしましょう。
では、収録したばかりのビデオから、最後の通し演奏の部分だけを抜き出してご覧いただきましょう。平均律クラヴィーア曲集第1巻より、変イ長調の前奏曲とフーガです。
まずは先週収録した前奏曲。この前奏曲は、バッハを含め当時のドイツ人が熱狂したイタリアのヴァイオリン協奏曲の影響が顕著です。(この下に動画が表示されない、または再生が止まるなどの場合には、直接こちらからご覧下さい→BWV862/1)
そして今回収録したフーガです。4声の充実したフーガで、合唱のイメージです。解説付きでは1時間23分ですが、これは演奏だけなので3分少々で終わります。(この下に動画が表示されない、または再生が止まるなどの場合には、直接こちらからご覧下さい→BWV862/2)
あなたのコメントをお待ちいたします
下のほうのコメント欄で、あなたのお考えをお聞かせくださると嬉しいです。
(システムの都合により、いただいたコメントがサイトに表示されるまでに最長1日程度お時間を頂戴する場合があります。あらかじめご承知くださいませ。)
本当に長かったです。1時間23分34秒!
途中で一度休憩しました。早く演奏だけ聴きたいと思ったり。
でも先生はもっと大変でしたでしょうね!
次々と説明が湧いてくるのは深い知識の賜物だからこうなるんだと言い聞かせました。
そして後から演奏だけ聴くと今度は物足りない気持ちになったり。
先生のお話や解説が私にはすーっと入ってくるわけではありません。
見直したり、考えたりしないとダメなんです。本当にわかるにはまだまだ時間が
かかります。
解説ビデオを全部見て下さったのですね!ありがとうございます!
私は好きでやっていますので、そのときは大変とは思いません(後で疲れが出たりはしますけど)。
こんなに長いものをご覧になるときは、どうぞ何回にも分けてください。
それから、私の話の中にはとても高度な内容もみんな一緒になっていますから、今はその中のいくつかだけでも「なるほど」と感じていただけたならそれでいいと思います。
八百板さんが以前のブログに書いておられたように
「33分33秒間、集中して視聴したら、5分間休憩する」と効果的かもしれません。
Youtubeは経過時間が表示されますから、33分33秒で一時停止、
次は66分66秒=1時間07分06秒で一時停止、という具合に(笑)
2年も前のブログを覚えていてくださって嬉しいです!
その場合、YouTubeの経過時間を気にしているとビデオの内容に集中できないから、いっそのことタイマー併用でしょうかね。
今日もう一度見てみました。大学の講義のような?と思いました。合唱とからまっての説明はなかなか珍しいのでは。講義の合間にチェンバロがなって。もう少しゆっくりの方がいいと思いましたが、そうすると2時間は越えてしまいますね。
何度もご覧下さってありがとうございます。
どうしても話が早口になりがちですよね。YouTubeの再生速度を変える機能で0.75にしてみたら少し聴きやすくなりますよ。楽器の音は割れてしまいますけれど。
八百板先生
こんにちは!
素晴らしい演奏をありがとうございました。
私は、平均律第1巻前奏曲変イ長調を
聴くといつも身が引き締まるような感じがして、
そのあと涙が出そうになります。
理由はわかりません。
フーガは先生の長く素晴らしい
解説を聴くことは出来ませんが、
それが凝縮された
立体的な演奏なんだと
思いながら、
すごいお方だなぁと(バッハと先生)
再認識しました!
嬉しいコメントをありがとうございます。
この曲を聴いて涙が出そうになるとは、豊かな感受性をお持ちでいらっしゃいますね!