家族三人の共同作業
今年はぎりぎり駆け込みで、家族三人揃ってのお花見が実現しました。
といっても、べつに遠出をしたわけではありません。見附チェンバロスタジオから歩いて5分のところに、高さ50mくらいの細長い山(丘と言ったほうがいいですが)があります。頂上が二つあって「観音山」「水道山」と呼ばれています。
頂上まで車道も通っていますが、せっかくなのでスタジオに車を置いて、運動を兼ねて歩きました。頂上までの階段を楽々と上っていくのは娘だけです。妻も私も、長い階段を上るという筋肉は全く鍛えていないので。まあ急ぐこともありませんから、頭上の新緑や階段の脇に咲くチゴユリ(稚児百合)の群生を見ながらゆっくり登りました。
頂上には一本の大きな枝垂桜があります。半分くらい散りかけていましたが、まだ写真を撮れるくらいは花が残っています。そしてその先、頂上を縦断する車道に沿って植えられているたくさんの八重桜がちょうど満開です。散り始めていますが、まだつぼみも残っています。下界の桜はもう殆ど散ってしまっているのに、50m登っただけで違うんですね。
毎年ゴールデンウィーク前後にどこかに日帰りで出かけて、そこで家族三人で一枚のスケッチを残すことにしています。まずは座る場所を決めて、シートを広げることから始めます。満開の桜の下に陣取りたいけれど、ちょうど絵になるような構図となかなか両立しません。場所選びだけでも、あっちに行ったりこっちに行ったりしながら議論して、それも楽しみの一つです。
横30cmくらいの、そう大きくもないスケッチブックに三人でスケッチをするのですから、手はお互いに邪魔だし、頭もぶつかるし、色鉛筆は取り合いになるしですが、これがまた楽しいんです。それぞれ描きたいものが違って、私は残雪の守門岳などの遠景、妻は満開の八重桜などの近景と、自然に役割分担ができています。娘はそこに、思いついたものを配置もバランスも構わずに勢いよく描き込んでいきます。小学4年生の娘の年齢だと、遠近法などの理屈にまだ縛られずに自由に描けるからいいですね。かなりデフォルメされて、見えるとおりとは言い難いのに、どう感じたのかがよく伝わってくるんです。
家族三人の共同作業でできたスケッチは、何を描いたのかは私たちにしか分からないというレベルで、人に見せられるものではありません。でも、一回目の結婚記念日に妻と二人で描いたスケッチから始まるこのスケッチブックをめくると、いろんなことが思い出されます。妻も私も絵はちっとも上達しませんが、娘の描き込みは明らかに進歩し続けています。音楽よりも絵が大好きな娘には数年前から絵画教室に行かせてあげていますから、大人はすぐに追い抜かれるでしょう。いつまで一緒に描かせてもらえるのでしょうね。
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あたたかいお話、ありがとうがざいました。家族との時間、大事ですよね。私も桜、主人と二人でですが見に行きました。近くで、ほんの15分位歩いただけだったかと思いますが、やはり季節ごとに味わい、記憶に残しておきたいと思いました。そして娘さんの絵、私はとても楽しみにしています。以前、オルガンを弾いている私を描いて見せてくれたことがあってーそれがあまりにも可愛くて・・『私(自分のこと)、こんなに可愛くないよ』と心の中で思いながらーでも嬉しかったです。(いつまでもそうであればいいな・・)そしてこの前、八百板先生の、桜を撮られた写真を見た時、ピンときました。娘さんはこのお父さんの才能を受け継いでおられるのだ、と。それでは、今日もコメントを通してお喋りさせて頂き、ありがとうございました。これからもご家族の、素敵なスケッチが積み重ねられます様に。
家合さん、ご丁寧なコメントをありがとうございます。娘が家合さんの絵を描いたとは、ごめんなさい、知りませんでした! 感じたままを描くことに興味があるようですから、きっと家合さんをかわいいと感じたんですよ。
そう言えば、私の母も絵が好きでしたし、その父親は染物の絵付の仕事をしていたと聞きました。忘れていたことを思い出させていただき、ありがとうございました。