遅すぎじゃないの?

晩年の偉大な超大作だからって、遅く弾きゃいいってもんじゃない

だいたいそれじゃ宮廷舞曲サラバンドが踊れないんですよ!

 

曲は有名な「ゴルトベルク変奏曲」の冒頭のアリア。YouTubeにもたくさんたくさん演奏動画がありますが、みなさん揃いも揃ってずいぶん遅く弾きますねえ。

もっとも、それらの演奏を「遅い」と考えるのは、プロのチェンバロ奏者くらいかもしれません。だって、過去に録音されたすべての演奏が遅ければ、「この曲はそう弾くものなんだろう」と思うのが普通でしょうから。

 

でも私は、この曲は決してそんなに遅く弾くべきでない、少なくともバッハ自身はそんなに遅く弾いたはずがない、と信じているのです。

だって、この曲の基本リズムは紛れもなくサラバンドなんです。サラバンドにはサラバンドのテンポというものがあります。

この曲を「偉大なバッハの晩年の超大作の冒頭」と思う前に「サラバンド風のチェンバロ曲」として見るならば、全然違った解釈が生まれてくるのです。

 

詳しい議論は下の動画で。

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遅すぎじゃないの?” に対して5件のコメントがあります。

  1. 瓜生寛子 より:

    多くの人が、ゴルトベルクのアリアをサラバンドだと知らず、2泊目のアクセントを蔑ろにしています。私もそうでした。また、リピートで、華やかな即興を入れなければならないこと、、つまりクラシックでは同じ事を繰り返し弾いてはならないルールも、示された演奏で、ためになりました。

    1. 八百板 正己 より:

      コメントありがとうございます。
      近年、音楽学者たちの精力的な研究のおかげで、バッハの時代にどう弾かれていたのかが明らかになってきました。バッハの素晴らしさがそうやって「再発見」される、ワクワクする時代に今私たちはいるわけです。

  2. K552 より:

    最近のゴルドベルグの演奏や新作を持ってないのであまり感じたことがないのですが、そんなに遅弾きの演奏が多いのですか?
    私は演奏者でなくリスナーなのでその観点からの感想ですが、先生の演奏も決して速いとは思いません。
    リヒター、レオンハルト、ヴァルヒャ、ピノック、シフ、晩年のグールドなど往年の演奏家でも、弾き方の違いはあってもスピードの違いはそれほどでもありません。
    グールドの1955年版だけはやたら速いですが、、、、
    曽根麻弥子さんの演奏を10数年前に浜離宮朝日ホールで聴いたことがありますが、2回目のCD発売後だったので1枚目の演奏よりはリズミカルだったように記憶してますが、、、、
    (1枚目の演奏の方が好きなのですが)
    そんなに遅い演奏が多いなら、最近モノも聴いてみなくては?と思いました。
    しかし、上記演奏が頭の中にしみついていますけど。

    1. 八百板 正己 より:

      歴史に残るようなレベルの演奏には、どんなテンポであれ説得力があります。バッハの時代にどう弾かれていたかとは違っても、一つの芸術として完結しています。
      問題は、普通にYouTubeを検索して出てくるような、単に過去の演奏をコピーしただけのような安易な演奏です。テンポだけ真似するから遅さが気になるのです。

      1. K552 より:

        早速You Tubeでゴルドベルグ検索で探してみました。
        ショート投稿などで確かにどうか?と思うような演奏が出てきますが、他の映像で典型的に遅い演奏を探してみたいものです。
        どう検索すればでてくるでしょうか?
        参考までに見聞きしたいだけで、私もそのような演奏を好むことはまずないと思いますが、、、
        余談ですが、リヒターが晩年1979年来日でのライブがTDKから発売されたCDを持っていますが、これは遅い演奏ですが一聴すべきに値するものです。

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