パイプオルガンの調律に行ってきました(写真付き)
青空に映えて聳えるのは、お隣の山形県鶴岡市にあるカトリック鶴岡教会天主堂、国の重要文化財です。ここに設置されているパイプオルガンの調律に、昨年に引き続いて呼んでいただきました。
昨年は一人で作業したので、すごく時間がかかった上に、とっても疲れました。その詳細を記した昨年のブログから引用しますね。
元々ある建物に、どうにか収まるように後から作られた楽器です。建物の形に合わせて苦労してあちこちにパイプが設置されています。そして、ほとんどのパイプが1箇所に集められている場所に行くのに、中腰にならないと通れない隙間を入って、体をよじらないと通れない隙間にある階段を3段上がって、頭をぶつけないように気をつけながら180度向きを変えて(これで目の前にパイプがきます)、片方の手でオルガンの枠につかまって体を支えながら、もう片方の手をかなり伸ばして、やっとパイプに手が届きます。
もし助手がいてくれれば、助手に鍵盤を押してもらえるんですけどね。そうすれば私は目の前に並んでいるパイプを順に調律するだけで済むんです。でも私一人ですから、まず鍵盤に小さな重りを乗せて音が鳴り続けるようにして、それから上記の苦労をしてパイプの所に行って、パイプの先端をいじって音の高さを調律します。また上記の苦労の逆をして鍵盤の所に戻って、重りを移動させて別の音が鳴り続けるようにして、また苦労してパイプの所に行って調律します。
パイプの数はざっと300本以上あるので最低でも300往復ですが、そう甘くはありません。あるパイプを一度合わせたと思っても、他のパイプを合わせてからそれとの関係を確認すると、たいてい少し調整し直す必要がでてきます。たぶん2日間で500往復はしたでしょう。ふくらはぎが筋肉痛です!
2022年5月13日のブログから引用
同じ苦労はしたくなかったので、今回は鍵盤を押してくれる助手を雇いました。チェンバロ教室の生徒さんが一人、なんとこの鶴岡に住んでいらっしゃるんです!
生徒さんとは午前中に現地で合流して、さっそく作業開始です。私はパイプのところにいて、「ミをお願いします」「次はファ」などと言いながら、パイプの先端を伸ばしたり縮めたり、少し広げたりすぼめたりして音を合わせるだけで済みます。ああ、なんて楽なんでしょう!
助手のおかげで昨年の2倍以上効率よく作業が進みます。昨年よりもずっと念入りに調律して、それでも2日目のお昼過ぎには作業が終わりました。おかげで午後は鶴岡市内を観光する事ができました。
実は今回、妻と娘が車に便乗して一緒に来たんです。私がオルガンの調律をしていた初日と2日目の午前中、2人は酒田や鶴岡を観光していました。宿は家族一緒に温泉旅館で寛ぎました。往復の道中も妻が半分運転を代わってくれたおかげで、ずいぶん楽でしたよ。
また来年も同じ時期に呼んでいただけるそうです。今度はどこの温泉に泊まろうかな?
追伸:
オルガン調律とは関係ありませんが、できたばかりのビデオをどうぞ。
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こんにちは♪
お隣の県までいらしてたのですね。
鶴岡のオルガンは、素晴らしいですね。まだ、演奏するのを聴いたことはありませんが。こんなところで、オルガンとコンサートできたら良いなと思っていました。
黒いマリア様がとても印象に残っています。
次回の調律の時は、私でよければ、お手伝いさせていただきますので、声をかけてください。
コメントありがとうございます。
このオルガンをご存じなんですね?
今のところミサと結婚式の時以外はオルガンを使う機会はないそうですが、演奏を聴きたいという人の声が増えればコンサートなども実現するかもしれませんね。
調律助手のお申し出もありがとうございます。
こんにちは
息子が鶴岡が勤務地になり、昨年秋、家族で初めて訪れました。坂がなくて、住みやすく、和、洋の建物があり、とてもいいところだなと思いました。黒いマリアの鶴岡教会、とても素敵でした。パイプオルガンのところはのぼれませんでしたが、大変な立地に配置されているのですね。助手さんがいない調律はどんなに大変だったことでしょう!
息子オススメの龍の湯旅館に泊まりました。お食事も美味しかったし、温泉水が飲めるところもありました。沈む夕日の綺麗な由良海岸も楽しかったです。
また訪れる機会があると思います。次回は、パイプオルガン、じっくり見てこようと思います!
コメントありがとうございます。
鶴岡はいいところですよね。来年もまた時間を作って、いろいろ観光したいです。
近県まで出張してのお仕事、お疲れ様でした。
山形の教会、美しい建物ですね。青い空に白色壁が映えて素敵です。お天気にも恵まれたのでしょうか。
先日、NHK Eテレ「クラシック音楽館」で、鈴木雅明さんがドイツやオランダの歴史的なオルガンを訪ねて演奏する様子が放送されました。諸事情で録画の一部しかまだ見ていないのですが、シュニットガー・オルガンの柔らかく美しい響きを堪能しました。
日本とのオルガンの歴史や、オルガンの規模等は違えど、メンテナンスの苦労は同様にあるのだろうな、、と。
話は飛びますが、今年の某県の国語の高校入試問題に、逸木裕(ゆう)さん作の「風を彩る怪物」という小説が取り上げられたそうです。若いオルガン制作者とフルート奏者の交流の話なのですが、その中に「オルガン制作は、一人では出来ない。設置する町や村を挙げてのプロジェクトだった。大勢の職人が寝泊まりし、それぞれの技能を生かしてオルガンを作っていった」旨の文章がありました。
先述の番組でも、全部ご覧になった方のお話では、鈴木雅明さんの「オルガンビルダーとしてのシュニットガーは、チームを作るのが上手かった」という言葉があったそうです。
オルガン建造時もそうですが、作られた後も、地域の人達や専門家、奏者達によって守られ、弾き続けられて、多くの人達によって、次の時代へと引き継がれていく。。。
様々な種類のパイプを備え、神への賛美を歌うオルガンと、各自の個性や技量を生かし、多くの人々が互いに手を携えて生きる、、、
「As above, So below」(上にある如く、下もまた有り)という言葉を思いだしました。
長いコメントをありがとうございます。
日本の教会では特にカトリックがパイプオルガン設置に積極的なようです。バチカンの後ろ盾があるような話も聞いたことがあります。
あとは、そうやって設置されたオルガンの保守にそれなりにお金がかかることについて、どう理解を得ていくかですね。バッハが好きな私たちにとっては「キリスト教=オルガン」という認識ですが、日本の信者さんたちにとっては必ずしもそうではないらしいので。
そうでしたか、八百板先生がこの教会のオルガンの調律をされていたのですか?
息子が今年山大の農学部を卒業し、3月に卒業式で鶴岡に行きました。
当日この教会にも寄ったのですが、確かにオルガンを昇る階段が狭く急ですよね!
作業が大変だったことと思います。
私事ですが、バッハのオルガン曲ではBWV552の変ホ長調のプレリュードが1番のお気に入りです。(この曲は自分の墓まで持って行くと決めています)
いつか、この教会のオルガンでも聴ける機会があればいいと思うのですが、、、
コメントありがとうございます。
オルガン曲にもお詳しいのですね。BWV552のプレリュードは私も大好きです。ここのオルガンは1段鍵盤なので、その曲を弾くにはストップ操作の助手が必要ですが、足鍵盤に16フィートも付いていますから、堂々とした響きが得られるはずです。