400年前の大ヒット曲(ビデオ付き)
バッハではありませんよ。バッハなら300年前ですから。
バロックより昔、ルネサンス時代後期のイギリス。エリザベスI世が君臨し、シェイクスピアも活躍していたイギリスの黄金時代。ダウランドというリュート奏者が、憂いに満ちたリュート曲をたくさん作りました。
その中でも「涙のパヴァーヌ」と名付けられた曲は当時大ヒットしました。ダウランド自身もリュート伴奏付きの歌曲や弦楽合奏に編曲しましたし、他のたくさんの作曲家がチェンバロ曲に編曲しました。この曲の人気はヨーロッパ大陸にも渡り、オランダの名オルガン奏者スヴェーリンクなどもチェンバロ曲に編曲したほどです。
今日ご紹介するのは、そうしてたくさん生まれたチェンバロ用編曲の元になったリュート曲そのものです。私はリュートを弾けないので、この時代に活躍したチェンバロの仲間である「ヴァージナル」という楽器で演奏します。後のバッハの頃のチェンバロと違って、とても素朴な音がリュートの雰囲気そっくりだと思いませんか?
バッハより100年も昔だからって、バッハより100年分劣っているなんていう事はありません。こういう曲を聴くと「芸術とはその時代その時代で最高のものが作られていた」ということをつくづく感じますね。
あなたのコメントをお待ちいたします
下のほうのコメント欄で、あなたのお考えをお聞かせくださると嬉しいです。
(システムの都合により、いただいたコメントがサイトに表示されるまでに最長1日程度お時間を頂戴する場合があります。あらかじめご承知くださいませ。)
おはようございます。
バッハが生まれる前にイギリスでリュート音楽が栄え、リュートに似た音の出る
ヴァージナルが愛好されたことが、バッハの時代になっても根強く残っていて、
それでバッハのチェンバロ曲にはリュートの語法の影響を受けた曲が多く、
ヴァージナルではない、「リュートの弦を張ったチェンバロ」のためにも作曲した
のだろうと思います。
そうですね。「弦をはじく」という仕組みがチェンバロとリュートでは共通ですから、けっこう似たような表現ができると私は思っています。
こんにちは。
リュートやプサルテリウムでは出しきれない表現があって、もっとたくさんの音を使った曲を作曲したいぞ、となって、オルガンみたいに鍵盤にしよう!となったのかなあ、と妄想しました。
考えてくれた昔の人に感謝です‼
チェンバロの起源の本質を突いていらっしゃいますね!
そのとおり、チェンバロはプサルテリウムに鍵盤を付けて14世紀に生まれました。
何年か前の某音楽番組で、イギリスのミュージシャン、スティングが、ルネサンス期の声楽を取りあげて歌っているとの話題が出て、その時の曲が、このダウランドの曲でした。(「流れよ、わが涙」という良く知られた別のタイトルでしたが )
時代が変わっても、良いものを見分ける人の目(耳)というものはあるものです。
スマホ音源で聴くと、どうしても音が高めで低音が効かなくなりがちなので、昔、八百板先生の演奏会で聴いたヴァージナルの音も、高めに聴こえてしまいます。
いつか生で聴ける時が、また来るといいのですが。。。
「流れよわが涙」は、ダウランド自身がリュート伴奏付き歌曲に編曲した時の歌詞の冒頭です。
スマホでお聴きになるとき、イヤホンかヘッドホンを使ってみてはいかがでしょうか?
けっこう低音も聞こえますよ。