新しい除湿作戦

ああ、梅雨ですね。

「何を今頃」と思いますか? 私が住む新潟県は梅雨といっても雨の日はそんなに多くないのです。梅雨前線は大抵は太平洋上に居座るので、東京などは1ヶ月もずっと雨だったりしますが、新潟県は梅雨の終わりに前線が北上していく時に通過するだけなのです。で、先週からここ新潟でも雨っぽい日が始まったので、今頃「梅雨ですね」と思ったわけです。

チェンバロは湿度に弱い楽器です。部屋の湿度が70%を超えるとキーがベタベタしてきて繊細なタッチで弾けなくなりますし、80%を超えると押したキーが戻ってこなくなったりもします。それで「ああ、梅雨ですね」とつぶやいた次第。

チェンバロの湿度対策ですが、エアコンで除湿運転すると温度も一緒に下がって寒いし、温度が下がれば調律がやり直しになってしまいます。なので今まではずっと、梅雨時の除湿は温度が下がる心配のない衣類乾燥機を使っていました。

ところがこの衣類乾燥機、音がやたらにうるさいのに除湿能力が低く、3時間くらい運転しっぱなしにしてようやく楽器の蓋をあけられる湿度になるという代物です。ちょっと部屋の換気をすればまた始めからやり直しです。結果として梅雨時は朝から晩までうるさい音で運転しっぱなしだったのです。

でも今年の私は、芸術家として感覚が敏感になったのか、単に我慢ができない年齢になっただけなのか、とにかくこの衣類乾燥機の音と共存するのが嫌になりました。温度を下げずに湿度を下げる代わりの方法は無いものかと思って、ふとチェンバロの先を見ると、もう夏になったのに片付け忘れている電気ストーブが目に入りました。

「そうだ、電気ストーブがあった」

石油ストーブと違って、電気ストーブは熱を発しても水蒸気は発生しません。冬場はそれが災いして部屋の湿度が下がりすぎたりもしますが、今は湿度を下げたいのですから好都合です。エアコンで最強の除湿運転をしながら、電気ストーブを最強にして部屋を温めればいいんです。

やってみると、たったの30分で部屋の除湿は完了しますし、温度もそんなに下がりません。おかげで、今年の梅雨はチェンバロを練習する時以外は部屋の窓を全開にして外の風に当たりながらスタジオで過ごせています。こんなにいい除湿方法があったのに、今まで17年間どうして気が付かなかったんだろう?

 

追伸:
今日の話題とは直接関係ありませんが、収録したばかりのバッハをお聴き下さい。私のチェンバロの上鍵盤は、湿度が少しでも高めだとすぐ機嫌が悪くなります。でも、いい除湿方法が分かった今は安心して上鍵盤を使って収録に臨めます。

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新しい除湿作戦” に対して2件のコメントがあります。

  1. Y.M. より:

    電気ストーブを片付け忘れていたのも、「すべての知らせは良い知らせ」だったようですね。

    1. 八百板 正己 より:

      そう、その通りです!

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