燃え尽きから脱して(写真付き)
いやはや、充実しすぎのコンサートでした!
先月末、柏崎市内で演奏したコンサートはヘビー級。チェンバロの長大なカデンツを含むブランデンブルク協奏曲第5番をはじめ、管弦楽組曲第2番、ヴァイオリン協奏曲第1番、カンタータ第51番という大曲揃い。
練習時間を十分に取って臨みたかったのですが、先々月にも大きなコンサートが二つあって叶わず、先月はもう何もかも放り出してとにかく練習しました。
で、終わってからしばらく私は燃え尽きていたのです。次の演奏の予定はずっと先なので、これといって「練習しなければいけない」というプレッシャーはありません。
でも、いつまでもそんな私ではないです。毎日の基礎練習に続いて、先週からこんな曲の練習を始めました(写真)。
バッハの「前奏曲とフーガ ホ短調 BWV900」といいます。
赤い表紙の「ウィーン原典版」に、バッハの短い前奏曲と短いフーガがほぼ全部集められた「バッハ:小前奏曲とフゲッタ」という楽譜があります。バッハ自身が息子たちや弟子たちにインヴェンションを教える前に取り組ませた、短いけれどすてきな小品が26曲集められた便利な楽譜です。
もうこの曲集はずいぶん前にほぼ全部弾いていたのですが、1曲だけ、何十年もずっと気にしていながら手付かずだった曲がありました。それがこのBWV900です。
どうして手付かずだったのかですって?
この曲集の他の曲がほとんど1ページとか、せいぜい見開き2ページに収まっているのに対して、この曲だけが7ページもの長さだったからです。それに、何度か弾いてみようとしたその都度、何だかおもしろくないなあ、と感じてしまって。
他ならぬバッハのチェンバロ曲を、7ページあるというだけで弾かないなんて、もったいない事をしていたなあ、と今思っています。だって、弾いてみて分かりましたが、なかなか良い曲だからです。
もっとも、この曲集を買った30年前はもちろん、チェンバロ奏者として活動を始めた20年前でも、音符の見た目に惑わされて適切なテンポ設定ができなかったでしょうから、最後まで練習してもやっぱり「何だかおもしろくないなあ」で終わっていたかもしれません。
大抵のバッハの曲は、多少速く弾きすぎても、逆に遅く弾きすぎても、ちゃんとそれなりの演奏になります。「普遍性がある」というんでしょうね。そんなバッハの曲にも時折、この曲のように「こう弾かないと全く様にならない」ということが起こるんです。
まあ、今回私が燃え尽きたのも、30年間も食わず嫌いをしていたこの曲に向き合う良いきっかけになりました。今なら隅々まで自信を持ってこの曲の解釈を提示できます。
せっかく練習している曲はどこかで発表したいものです。でも、公開の場でのチェンバロ演奏の機会は当分ありません。ひとまずは、1ヵ月後に行うチェンバロ教室の秘密のパーティーで生徒さんたちに聴いていただきましょうか。
追伸:
私のチェンバロ教室の「秘密のパーティー」についてはこちらをご覧下さい。
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柏崎市でのコンサート、大変お疲れ様でした。ブランデンブルク協奏曲第5番はヴァイオリン・フルートもさることながらチェンバロの活躍もあって華やかな感じでした。そして、アヴェ・マリアはチェンバロパートとグノーの旋律とが織りあって崇高な世界への扉を開くような感じでした。バッハの音楽だけのプログラムは機会が少ないだけに貴重なコンサートだったと思います。素晴らしい演奏をありがとうございました。
ご来場くださったのですね! その上うれしいコメントをどうもありがとうございます。私たちにとっても、こんな曲を演奏させていただける貴重な機会をいただけて、幸せでした。
リンクしていた「秘密のパーティー」ならぬ、発表会の様子、拝見させて頂きました。
暗譜で堂々と弾かれるお嬢様の演奏、流石ですね。ブルグミュラーは、私も独学で練習しているのですが、暗譜まではなかなか出来ません。。。
「5分間音楽史」と称して、必要に応じてCDを生徒さんに聴いてもらうのは、いいと思いました。大抵の教室では、そこまでやっていないのでは?と思われるので。
皆さん集まってのお茶の会もあって、今はコロナで難しいですが、音楽関連だけでなく、人が集まって交流する事の意味を考えさせられます。
リンク先の隅々までご覧下さってありがとうございます!
またこういう会ができるようになることを願っています。