被害者意識を持たない
蒸し暑い日でした。日中は雨も降りました。
さあ、ここが運命の分かれ道です。間違っても「あーあ、嫌な天気だ」などと言ってはいけないのです。
すべての知らせは良い知らせ
私の大好きな言葉です。大好きなというより、今までこの言葉にどれだけ救われてきたことでしょうか。
音楽家をやっていると、困ったこと、大変なこと、危機的状況と、予想外のいろんなことが起こります。でも、そんなときに心穏やかに一段高い視点から冷静に状況を捉えることができると、そこに千載一遇のチャンスが隠れているのに気付いたりするんです。そこまで劇的でなくても、何となく惰性で放置してしまっている問題点を、「そろそろ手をつけておいたほうがいいんじゃないのか?」と知らせてくれるサインだったりします。
そういう意味で、どんなに困ったことが起こっても、それは良い知らせだというわけです。
でも無条件に良い知らせになってくれるわけでないのが難しいんです。同じ困ったことが起こっても、「ああ嫌だ」と悪く受け取ってしまうと、さあ大変。ストレスを感じた心は危機管理モードに切り替わってしまいます。爬虫類のときに発達した古い脳にとっては、どんなストレスも「自分の命を狙う捕食動物との遭遇」と等価です。命を守ることを最優先にするために、どんな些細なことも自分への攻撃と受け止める神経過敏な状態になります。哺乳類になって発達した「仲間を大切に思う心」や、人類特有の「解決策を模索する創造性」は機能を停止します。
どうりで、蒸し暑かったり雨が降ったりすると、些細なことでイライラしやすいわけです。
だから、ここで自分の爬虫類脳の言いなりにならないように、先手を打って主導権を握りましょう。
まずは目を大きく開きます。目を大きく開くときというのは、大抵は良いことが起こったときです。目を大きく開く筋肉を刺激することによって、自律神経系が「良いことが起こっている」と勘違いします。
次に深呼吸します。ゆっくり深く呼吸ができるときというのは、自分が危険にさらされていない余裕のあるときです。深呼吸をすることによって、自律神経系が「良いことが起こっている」と勘違いします。
こうしてとりあえず爬虫類脳を鎮めておくと、いろいろ良いことに気がつくことができます。
「蒸し暑いということは、今日は汗をたくさんかくから、老廃物が排出されて体調が良くなるぞ」
「この雨が上がれば、空気中の塵が洗い流されて、明日あたりは星がきれいに見えるかもしれない」
「植木鉢に水をやる手間も省けた」
何でもいいから良いことをたくさん探しましょう。これができれば、あなたの勝ちです。
「汗だの星だの植木鉢だの、そんなつまらないことに構っていられないよ」と思うでしょうか? 些細なこと自体が大切なのではありません。心を爬虫類脳に乗っ取られるのを防いで、被害者意識を持ってしまうのを防げることこそが重要なんです。
被害者意識を持ってはいけません。
これは絶対です。「私は被害者だ」というは「この件に関して、私は一方的に攻撃されるばかりで、自分に解決能力はない」という立場を表明することと同じです。簡単に言えば「この件に関して私は無能だ」ということです。些細なことにも頻繁に被害者意識を持つと、やがて「この件に関して」の部分が抜け落ちるのは時間の問題です。すなわち「私は無能だ」これほど惨めな言葉があるでしょうか? これほど自分の誇りを踏みにじる言葉があるでしょうか?
確かに、雨が降るのを止める能力は誰にもありません。だってあなたのコントロール下にないことですから。でも、些細なことが起こるたびに「私は被害者だ」と不機嫌になるのを避ける能力は、誰でも心がけと練習で身に付けることができます。あなたの心はあなたのコントロール下に置くことができるのです。
爬虫類脳の言いなりにならずに、主体的に生きましょう。
そうそう、見附のスタジオからの帰り道、雨が上がって雲間から夕日が顔を覗かせました。思ったとおりに空気中の塵が洗い流された青空に浮かぶ雲を夕日が照らす様は神々しかったです。
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「空気中の塵が洗い流された青空に浮かぶ雲を夕日が照らす様は神々しかったです。」
という先生の結びの文。
昨日はそのような光景は目にしなかったのですが、(そのころ何をしていたのかな?)
この文章から空の様を想像して今日一日を過ごそうと思います。ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
高さの違う何層もの雲が輝いて、まるで45億年前の地球誕生から少し経たばかりの空を描いた想像図(宇宙関係の書物に載っていたりします)のようでした。