ステージの真ん中にこんなものが(写真付き)
2台のチェンバロと1台のポジティフオルガン(移動式パイプオルガン)です。
昨日は管弦楽と合唱の総勢約60人からなる新潟バッハ管弦楽団&合唱団の長岡公演でした。バッハのクリスマス・オラトリオ第1部と、ヨハネ受難曲の中心部を私の指揮で演奏しました。写真はそのステージの真ん中です。バロック時代の大規模な宗教音楽を演奏するときにしか見られない、珍しい光景です。
オルガンの向こうに見えるのは合唱席です。チェンバロの左右に黒いものが少しだけ写っていますが、画面の両脇に管弦楽の椅子と譜面台がずらっと並んでいるのです。オルガンを弾いているのは、開場前の貴重な空き時間を使って練習する私の妻です。
私が指揮をするといっても、普通に指揮台で棒を振るのではありませんよ。大半の曲ではチェンバロで通奏低音を弾きながらアンサンブルを統率して、合唱が入る大編成の曲で立ち上がって手を振ります。そのときにはもう一人のチェンバロ奏者にチェンバロ演奏を任せます。全曲を統括する重要な役割を担うので、ステージの真ん中に陣取っているのです。
本番前日の朝、会場が開くと真っ先にチェンバロを運び込みました。私のチェンバロの場所を決め、その関係からオルガンの配置を決めたら、次はオルガンの調律に取り掛かります。このオルガンには移動に便利なキャスターが付いていますが、場所を動かすと調律が狂ってしまうので、はじめに場所を決めておくことが必要なのです。
オルガンの調律は2時間くらいでできました。この楽器を私たちのコンサートの本番に使うのはもう4回目なので、だんだん調律作業にも慣れてきます(毎月の練習にも使っていますが、調律をするのは本番の前だけです)。このオルガンは長岡リリックホールの備品ではありますが、楽器の保守契約を結んでいる東京の楽器業者と交渉した結果、新潟県内各地のオルガン調律の実績がある私だけは自分でこのオルガンを調律する許可をもらっているんですよ。
人類の遺産であるバッハの大規模な傑作が、もっと日本中いたるところで演奏されればいいのに、と私は願っています。ただしその実現のためには、そのたびにステージの真ん中にこんな珍しい光景を出現させることが必要になります。いろいろなご縁が重なったお陰でこの活動に関わることができる私たちは幸せです。
あなたのコメントをお待ちいたします
下のほうのコメント欄で、あなたのお考えをお聞かせくださると嬉しいです。
(システムの都合により、いただいたコメントがサイトに表示されるまでに最長1日程度お時間を頂戴する場合があります。あらかじめご承知くださいませ。)
長岡公演では大変お世話になりました。チェンバロが2台あったので、びっくりしました。その都度その都度公演の度ごとに、とても良い経験をさせていただいています。そして、バッハの音楽の深みを、私なりに体験させていただいています。
こちらこそ、ありがとうございました。私自身、公演当日の慌しい中で2台のチェンバロを調律する時間が取れたのも、経験を積んでいろいろな作業が慣れてきたことや、出演者の皆さんが自主的に動いてくださっているおかげです。
ステージの真ん中のこの空間(軸)、私は(イメージの中で)十字架の縦の線と重なりました。演奏会前日のことですが。また、その際もお世話になり、ありがとうございました。
”いろいろなご縁が重なったお陰でこの活動に関わることができる私たちは幸せです。”ーそう書いてくださいました。神様のご計画は私たちの思いをはるかに超えるものだと思います。そのご計画の中で出会わせて頂いた私たち一人一人の存在ー大切にしていきたいと願います。
コメントありがとうございます。
なるほど、十字架ですね。
鍵盤楽器を単に低音楽器の仲間と捉えるなら、私が弾くチェンバロだけは真ん中に置くとしても、オルガンは向かって右側のチェロやファゴットの近くに置くのが自然なのかもしれません。ですが、ポジティフオルガンを初めて使った2年前の長岡公演のときに、直感的に「オルガンの場所も真ん中がいい」という気がしたのです。