チェンバロを運ぶのに大きなトラックが必要と思っていらっしゃる方は、私が自家用の軽ワゴン車で運んでいることを知って感心してくださいます。さらに、車に積むのも降ろすのも私一人でしているとお話しすると驚かれます。言葉ではうまく説明できませんので、この際ですから19枚の写真を使って詳しく説明しましょう。

写真1

(写真1)さあ、これから作業開始です。

写真2

(写真2)鍵盤の前蓋を取り付けます。ピアノの鍵盤の蓋が蝶番で楽器に付いているのと違って、普段は外してあるのです。

写真3

(写真3)蓋を閉めます。

写真4

(写真4)毛布をかぶせます。実はこの毛布、2000年にこの楽器を作ってもらった時に、埼玉の工房で楽器を受け取った時からの付き合いなのです。

写真5

(写真5)専用カバーをかぶせます。楽器と一緒に作ってもらったもので、多少の雨に濡れても大丈夫です。

写真6

(写真6)さあ、ここからが企業秘密! カバーの周囲に巡らせてある白いロープ(写真⑤)を縛るために、楽器本体を脚の上で縦に起こす(写真⑦)必要があるのですが、その作業はどう考えても一人では無理だと思われました。ですが、チェンバロを外に持ち出すことが毎週のように増えてくるにつれて、お手伝いの人を頼まなくても何とか一人でできるようにする必要に迫られたのです。そこで、本体の前のほうをこのように脚からずらして・・・

写真7

(写真7)本体の鍵盤のほうを持って「えいやっ!」と起こせば、本体の前のほうが脚から滑り落ちることなく立てることができます。

写真8

(写真8)カバーに付いているロープを縛ります。この作業をご覧になったお客様は「引越し屋さんみたい」「家具屋さんみたい」とおっしゃいますね。

写真9

(写真9)さあ、ここからも企業秘密! 写真左に見える台車(自分で作りました)に楽器本体を載せるのですが、それも一人でできるようにならないかと考えました。いっぺんに載せることができないので、脚より少し低い椅子を中継地点として利用することを思いついたのです。まずは前のほうを椅子に乗せて・・・

写真10

(写真10)鍵盤のほうを台車に載せて・・・

写真11

(写真11)前のほうを下ろします。めでたく台車に載りました!

写真12

(写真12)脚を分解します。四角いナットというのは現代では珍しいですが、チェンバロが活躍した時代は産業革命前で、六角ナットはまだ無かったそうです。時代考証のこだわりですね。

写真13

(写真13)分解した脚です。2本の長い棒は使い古した靴下を履かせて束ねます。先端に付いているネジが車に傷をつけないように、そして2本一緒に運びやすいようにという工夫なのですが、棒が靴下を履くところをご覧になったお客様は皆さん笑いますね!

写真14

(写真14)運搬先のホールなどで長距離を移動するときは、何度も往復しないで済むように、このように楽器の上に必要なものを全部載せて一回で運んでしまいます。

写真15

(写真15)スタジオの玄関を出るところです。15cm程度までの段差なら乗り越えられます。

写真16

(写真16)さあ、ここも企業秘密! 一人で車に載せますよ。まず前のほうをクッション(私は使わなくなった寝袋を利用しています)に乗せます。不安定で、ここで地震でも来れば一巻の終わりですから、すばやく次に進みます。

写真17

(写真17)クッションの上を滑らせながら奥まで押し込みます。

写真18

(写真18)楽器を寝かせます。ちなみに、助手席は折りたたんであり、楽器の先端はダッシュボードに突き当たっています。日本では運転席が右側なのでこの積み方ができますが、他の国ではチェンバロを裏返して積むこともあるそうですよ。

写真19

(写真19)分解した脚や椅子を乗せ、急ブレーキをかけても椅子が後頭部を直撃しないように荷造り用ロープで固定して、楽器と車体のすき間に譜面台や工具箱を入れれば積み込み完了! 冬場はこれに電気ストーブが加わりますが、そのお話はまたいつか。

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