調律法講習会ビデオ視聴ページ


講習会「バッハの時代の調律法からバッハの真意を探ろう」

お願い:このページにあるビデオをフェイスブックなどのソーシャルネットワークで共有したり、Eメールで他人に知らせたりしないで下さい。

理由:このページにあるのはすべて限定公開ビデオで、googleやYouTubeで検索しても出てこないようにしてあります。しかし、あなたがビデオのURLを第三者に知らせると、その人は講習会を受講していないのに見ることができてしまうのです。現在、私の技術不足と知識不足でこうなっています。どうかご理解とご協力をお願いいたします。

 

第1日:2024年7月27日(土)13:00~18:00

【講義と実演1】ピタゴラス音律と純正律が抱える根本的な矛盾

「調律なんて、音がきれいにハモるように合わせればいいだけじゃないか」と考えるかもしれません。でも、単純にきれいにハモるように合わせようとすると、「ドレミソラ」の5音すら合わせられないという、数学的な矛盾を抱えているのです。

ここでは、実際にあなたの目の前でチェンバロを「単純にきれいにハモるように」合わせてみて、どんなにひどく破綻するのかを実験します。これによってあなたも調律の根本的な矛盾を肌で感じて、調律の世界の奥深さを再認識することでしょう。

 

【講義と実演2】中全音律(成立の経緯、性格、調律のしかた)

バッハより100年以上昔のルネサンス時代に、中全音律という一つの完成された調律法が広く受け入れられました。純粋で天国的に美しい3度音程を持っているのに、現代の音楽シーンではほとんど触れる機会がないのが残念です。

ここでは、この美しい調律法についてじっくり学びます。最大の特長である純正3度の天国的な美しさをあなたも肌で実感してください。この講習会のすべての出発点となる「純正3度の美しさ」を知れば、あなたもきっと病み付きになることでしょう。

 

(お茶の時間)

 

【調律実習1】うなりの聴き取りとチューニングハンマーの扱いに慣れよう

 

【講義と実演3】中全音律で弾けるバッハ、弾けないバッハを検証する

バッハは古い時代の調律法で弾きさえすればいい、というものではありません。バッハより100年昔には万能だった中全音律も、バッハの時代には破綻をきたすようになったのです。

ここでは、バッハのいろいろな曲を中全音律で弾いてみます。どういう曲なら弾けるのか、どういう所がなぜ破綻するのかを実演付きで考察しましょう。それによって、なぜバッハを弾くのにそんなに調律法のことで悩まなければならないのか、あなたも納得いただけることでしょう。

 

第2日:2024年7月28日(日)9:00~12:00

【グループレッスン1】バッハをいろいろな調律法で弾いてみよう(1)

 

【グループレッスン1】バッハをいろいろな調律法で弾いてみよう(2)

 

【ミニ・コンサート1】ルネサンス時代の音楽(中全音律)

 

第3日:8月24日(土)13:00~18:00

【講義と実演4】不等分律への道

中全音律で演奏が破綻する理由を一言で表せば、「異名同音が成り立たない(例:ミ♭として調律した音がレ♯として使えない)こと」です。それを解決するために、「ミ♭を少しレ♯に近づけて調律する」といった妥協策が取られ始めました。その妥協は時とともに拡大し、純正3度の美しさを少しずつ諦める代わりに、次第に多くの調が演奏可能になっていきました。こうして、純正3度、少し純正から外れた3度、かなり純正から外れた3度、といった多様な3度が混ざり合った「不等分律」の時代に移行します。

ここでは、中全音律の素晴らしさをできるだけ残しながら、どのようにして調律法が変化していったのか、実演も交えてその道筋を解説します。書物だけでは決して伝わらない込み入った話題ですが、楽器のすぐそばで実際に響きを聴くことで、きっと感覚的にもご理解いただけることでしょう。

 

【講義と実演5】ヴェルクマイスター音律(成立の経緯、性格、調律のしかた)

バッハより一世代前の音楽理論家であるヴェルクマイスターが、1691年に一冊の調律理論書を出版しました。そこで発表された新しい調律法によって、曲がりなりにも24の調すべてが演奏可能になったのです。

ここでは、その新しい画期的な調律法についてじっくり学び、24の調すべてを実際に弾いてみます。バッハは若い頃にこの調律法に出会って感激したらしいです。今回ピタゴラス音律の矛盾から歴史を順にたどるあなたも「ついにここまで来たか」と感じて下さることでしょう。

 

(お茶の時間)

 

【調律実習2】オクターブ展開とユニゾン合わせに習熟しよう

 

【講義と実演6】調性格論

バッハの時代に不等分な調律法が普及したことによって、調によって響きが美しかったり濁ったり、その違いが強く意識されるようになりました。結果として、「ヘ長調は牧歌的」「ホ長調は浮足立った軽さ」といった、調の性格が論じられるようになり、作曲にあたっても重要視されました。

ここでは、当時の文献にもとづいて、調の性格について実際に曲の雰囲気との整合性を検証してみます。これによって、調の性格が単に観念的なものではなく、実際の響きの違いに根差したものだと納得いただけることでしょう。

 

第4日:8月25日(日)9:00~12:00

【グループレッスン2】調の性格を意識してバッハを弾こう(1)

 

【グループレッスン2】調の性格を意識してバッハを弾こう(2)

 

【ミニ・コンサート2】半音階的幻想曲とフーガ(ヴェルクマイスター)

 

第5日:9月28日(土)13:00~18:00

【講義と実演7】ヴァロッティ音律(成立の経緯、性格、調律のしかた)

ヴェルクマイスターより少し後になって、イタリアのヴァロッティが発表した調律法があります。これは、ヴェルクマイスターよりもさらに違和感なくすべての調を演奏できるもので、私がバッハを弾くときに日常的に使っているのもこの調律法です。

ここでは、この調律法についてじっくり学びます。ヴェルクマイスターではかなり無理があった嬰ヘ長調や変ロ短調といった過激な調が、確かに演奏可能になったということを感じていただけることでしょう。

 

【講義と実演8】8分の1調整律(成立の経緯、性格、調律のしかた)

バッハ以降、いきなり現代のように平均律が広まったわけではありません。ショパンだって、本当は平均律ではなかったのです。確かにバッハの時代の調律法よりだいぶ平均律に近づいてはいます、でも、決して平均律ではないのです。

ここでは、ショパンの時代に使われていたと考えられている調律法でショパンの時代のピアノを調律して、その響きの多彩さを味わっていただきます。この講習会で中全音律からヴェルクマイスター、ヴァロッティと順を追って馴染んできた耳なら、きっとその微妙な多彩さを感じていただけることでしょう。

 

(お茶の時間)

 

【調律実習3】オクターブの割り振りに挑戦しよう

 

【講義と実演9】平均律が蔓延する現代に調律法の知識をどう生かすか

確かに、あなたが家でお弾きになるピアノは平均律でしょう。「美しい」とされるハ長調も、「過激に濁っている」とされる嬰ハ長調も、平均律なら全く同じように響きます。けれども、バッハが意図していた響きが分かっていれば、平均律の楽器を弾いても弾き方が変わってくるはずなのです。

ここでは、今回の学びをあなたの今後の音楽活動にどう生かす可能性があるか、じっくり掘り下げます。「バッハの時代の調律法で考える」という武器を身に着けるあなたには、他の人には聞こえないバッハからのメッセージが聞こえるようになるでしょう。

 

第6日:9月29日(日)9:00~12:00

【グループレッスン3】平均律クラヴィーア曲集を深く味わおう(1)

 

【グループレッスン3】平均律クラヴィーア曲集を深く味わおう(2)

 

【ミニ・コンサート3】平均律クラヴィーア曲集より(ヴァロッティ音律)