いくつもの絶対音感

私はチェンバロの練習効率を上げるために(正確に言うと、集中力の維持のためにきちんと休憩を取れるように)、2つのタイマーを使っています。一つは一回の練習時間である33分33秒に設定し、もう一つは休憩時間である5分間に設定しています。一つのタイマーが鳴ったら、それを止めてすぐに必ずもう一つのタイマーをスタートさせます(そうしないと、再起不能に疲れ果てるまで練習を続けてしまったり、逆にいつまでも休憩し続けたりしてしまいますので)。

これをするようになって1ヶ月以上になりますが、今日おもしろいことに気が付きました。2つのタイマーの音の高さが、ほぼ1オクターブ違うんです。さあ、ドレミファソラシのどの音が鳴っているのか?

私は困ったことに、絶対音感を2種類持ってしまっています。一つはこんにちの国際標準であるa=440(大体ですよ。440か442か、といった細かいことは分かりません)、もう一つはそれよりも約半音低い、いわゆるバロックピッチと呼ばれるa=415です。朝一番に440の演奏を聴くと、その日はほぼ440基準で音が聞こえますが、朝一番に415の演奏を聴くと、その日は415の日になります。私が所有するチェンバロたちをこの2種類のピッチに分けて調律していますので、音叉も2種類持っているんですよ。

というわけですので、タイマーの音の高さにちょっと自信がなかったのでチェンバロで弾き比べてみました。そうしたら、5分間にセットしている休憩用タイマーが「シ」の音でした。どうして基準音の「ラ」じゃなくて「シ」なの? たぶん全く理由なんて無いんでしょうね。

で、33分33秒にセットしている練習時間用のタイマーは、中途半端な「シ」と「ド」の間くらいでした。なおさら音の高さに理由なんか無さそうです。

中途半端といえば、私のスタジオにあるショパン時代のフォルテピアノ(今年で170歳)は、a=430という中途半端な高さに合わせています。この楽器が作られた当時のフランスのサロンはこのくらいのピッチだったらしく、この楽器を購入したときも430で使われていました。

鍵盤楽器のピッチを安易にいじると音色がまるで変わってしまうし、この楽器は170歳でピアノとしてはかなりのご高齢です。楽器をいたわって、そしてショパン時代の音色をなるべくそのまま聴きたいので、こんな中途半端な高さを維持しています。

a=430なんていう音叉が売っているのかどうか分かりませんが、スマホ用のアプリをいくつか見てみたら、どんなピッチにも設定できる電子チューナーアプリがあるんですね。今はそれを使って基準音のa(ラの音)を合わせています。そこから先は電子チューナーは使えません。音律が「八百板オリジナル8分の1コンマ第4調整律」ですから、耳で合わせるしかありません。

このフォルテピアノをもっと真面目に頻繁に調律するようになったら、私には3つめの絶対音感ができるのでしょうか?

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