上腕が疲れます(写真付き)

チェンバロはデリケートな楽器なので、どこもかしこも脱力して弾くことが求められます。でも、だからこそ筋肉痛になるということもあるんですよ。

間近に迫った風岡優ヴァイオリン・リサイタルの第1回に向けて丁寧に丁寧に繰り返し練習中。曲はバッハの「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第2番」の第3楽章です。左手がずーっとスタッカートの指示があり、チェロのピチカートのイメージなので、上鍵盤をそういう音色にセットして左手だけ上鍵盤で弾くことにしました。この上鍵盤、じつは上腕がとっても疲れるんです。

椅子の高さは下鍵盤を弾く腕の高さに合わせてセットするので、下鍵盤を弾いている分には腕は楽です。それが、上鍵盤を弾くときには上腕はかなり水平に近く伸ばすことになります。鍵盤に指を乗せてしまっていいなら楽なんですけど、この曲ではスタッカートです。チェンバロのスタッカートの基本は、手を完全に宙に浮かせて指先だけで弾きます。腕の重さを鍵盤に載せてはいけないのです。

しかも、ただ腕を伸ばすだけでなくて、腕の重さを支える最低限の筋肉だけを働かせて、それ以外は脱力です。いっそのこと腕全体でギューッと力を入れてしまったほうが楽なんですけどね。あなたもちょっとやってみて下さいませんか? その腕の状態を5分間キープするだけでも結構つらいでしょう? 本番は5分くらいで終わるので大丈夫ですが、今日は1小節ずつ区切って5回から10回くらいずつ繰り返しましたから、左腕を40分間伸ばしっぱなしだったんです。

以前の私は、上鍵盤を弾くときに無意識に楽をしようとして前屈みになる悪い癖がありました。こうすると上腕の角度がやや下向きにできるんです。でもこれをやってしまうと背筋が固まります。肩の筋肉も固まります。そして音が悪くなります。さらに指先の細かい動きができなくなります。上鍵盤はただでさえキーが短いので(つまり慣性が小さくて外力の影響を受けやすい)、指先の動きが雑だと音の悪さに直結します。前屈みになんかなったら良い演奏ができるわけがありませんでした。

特に筋トレなどで上腕を鍛えたわけではありませんが、演奏中に背筋が真っ直ぐ伸びているかどうかを意識できるようになってから改善されてきました。お客様から、つまり横から見られて美しい姿勢ですね。美しい姿勢といえばクラシックバレエの立ち姿勢です(私が妻にバレエ教室に連れていかれた記事はこちらのページで)。腹筋と背筋を引き上げ、首と肩を後ろに引きます。相変わらず上鍵盤を長時間弾くと上腕が疲れますが、いいんです。「ちゃんと背筋が伸びている」というサインですから。

この文章、何年かして読み返したときに「2018年にはまだこんなことで苦労していたなんて」と笑い話になっているといいんですけど。

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