
インヴェンションやフランス組曲などを、通奏低音が聞こえるかのように生き生きと弾こう
ピアノでも美しい? チェンバロでもつまらない?
ピアノで弾くバッハ演奏でも、時々「わあ!なんてバロック音楽らしい雰囲気なんでしょう!」という素晴らしい演奏に出会うことがあります。
いっぽうで、チェンバロで弾いていても「何だか全然バロック音楽らしくないなあ…」という演奏もあります。
この違いは何が原因だと思いますか?
装飾音やアーティキュレーションだけじゃない
もちろん、装飾音やアーティキュレーションは大切です。
「バッハの時代にはトリルはこう弾いていた」とか、「バッハの時代にはロマン派と違って、何でもかんでもレガートにつなげるものではなかった」とかです。
それができた上で、それでも何かが決定的に違うのです。
さあ、何が違うのでしょうか?
ヒントを差し上げましょう。「左手の弾き方」です。
といっても「左手にも主題が出てくる」という話ではありません。むしろ主題を奏でていないときの左手の弾き方が決定的に違うのです。
弾いてないのに聞こえてくるもの
答はこれです。
「左手の演奏から通奏低音*が聞こえてくるかどうか」
(*通奏低音とは、バロック音楽特有の、合奏での低音パートの演奏スタイルを指す言葉)
このことに気付いている人は、プロのピアニストでも非常に少ないはずです。
「和声分析はしているし、左手をちゃんとバロック風にノン・レガートで弾いているじゃないか」と。
確かにいい線いっています。そのようなことを全く考えずにバッハを弾くピアニストが大半なのですから。でも、それだけでは不十分なのです。
分かりやすいように、例えばガヴォットの演奏について考えてみましょう。
次の二人の奏者のうち、どちらが「踊りが目に見えるかのように」ガヴォットを弾けるでしょうか?
- 「ガヴォットは、スタッカート、スタッカート、テヌート、と弾く」とだけ理解している奏者
- 実際にガヴォットを踊れる奏者
もちろん2番目の奏者ですよね。
通奏低音についても同じです。
通奏低音を弾ける鍵盤楽器奏者が弾くインヴェンションからは、鍵盤独奏曲なのに通奏低音が聞こえてくるのです。
プロのピアニストも通奏低音を知らない
バッハの鍵盤音楽は、鍵盤楽器の独奏曲にもかかわらず、当時の合奏音楽における通奏低音を模倣した表現を非常に多く含みます。当時のチェンバロ奏者は必ず通奏低音奏者でもありましたから、それはごく自然なことだったと言えます。
けれども、音楽大学をはじめピアノ教室も含むこんにちの音楽教育では、通奏低音についての理解は完全に抜け落ちています。
おそらく「ごく一部のチェンバロ奏者だけに必要な特殊技能」くらいにしか思われていないのでしょう。一般のピアノ愛好家や指導者の方々は、「通奏低音」という言葉すら聞いたことがない場合も少なくないようです。
こんな状態では、バッハが鍵盤音楽に託したメッセージのかなりの部分が見過ごされたままとなっても当然です。
ネット上には間違った情報ばかり
では、通奏低音とはどんなものなのでしょうか?
インターネットで検索すると、通奏低音についての解説動画なども無いわけではありません。けれども困ったことに、通奏低音を弾いたこともない人が音楽辞典に書いてあるような間違った説明を繰り返す程度のものばかりです。
それらの解説を聞いたところで、「じゃあインヴェンションをどう弾いたらいいの?」といった疑問には全く役に立ちません。
そこで今回、私が長年通奏低音奏者としても活動してきた経験をふまえて、「バッハの鍵盤音楽と通奏低音との関係」に特化した教材を作りました。
通奏低音について初めて学ぶ人にも分かりやすく、それでいて通奏低音の「謎の楽譜」を実際に解読して右手を作曲して弾いてみる実践的な内容も豊富です。
最終的にバッハの鍵盤音楽をバロック時代の合奏音楽のイメージで生き生きと弾けるようになることを目指します。
オンライン・ビデオ教材「バッハの鍵盤音楽と通奏低音」
~インヴェンションやフランス組曲などを、通奏低音が聞こえるかのように生き生きと弾こう~

内容:
【第1章:通奏低音誕生の歴史】
【第2章:通奏低音の諸形態】
【第3章:バッハの合奏音楽の低音パートに親しもう】
【第4章:バッハの通奏低音を両手で弾いてみよう】
【第5章:通奏低音の理解に基いてバッハの鍵盤音楽を弾こう】
収録曲:
マタイ受難曲、クリスマス・オラトリオ、管弦楽組曲、インヴェンション、シンフォニア、フランス組曲、ほか多数
八百板自筆の郵送楽譜(A4版12枚)付き
想像してみてください
「ああ、通奏低音って、こういう感じの、こういうものなんだ!」
通奏低音について何も知らなくても大丈夫。豊富な参考動画と分かりやすい解説によって、通奏低音がどんなものなのか具体的な響きをはっきりとイメージできるでしょう。
「通奏低音は私にも弾けるものなんだ!」
通奏低音の「謎の楽譜」の解読もできるようになります。私が解読した模範も郵便でお送りしますから、私の真似をして弾いてみてください。
あなたにとって通奏低音がずっと身近なものに感じるでしょう。
「まるで私も古楽器アンサンブルの合奏に参加しているみたい!」
そしていよいよ、インヴェンションなどの鍵盤音楽を、まるで通奏低音が聞こえるかのように生き生きと弾いてみます。
バッハが鍵盤音楽に託した豊かな合奏音楽のイメージをあなたも実感できるでしょう。
あなたが手に入れるもの
【第1章:通奏低音誕生の歴史】
ネットで「通奏低音」と検索すると、「チェロなどの低音楽器に鍵盤楽器で和音を加えて演奏すること」などといった間違った解説がまかり通っています。プロのチェンバロ奏者までがこんな間違った定義を信じている有様ですから、低レベルのバロック・アンサンブルは退屈で聴いていられないのです。
ここでは、通奏低音がどのようにして生まれたのか、その歴史を学びます。
これによってあなたは、通奏低音の本当の存在理由とそのあり方を正しく理解することができるでしょう。そして、次章以降の内容を学ぶための土台をしっかり築くことができるでしょう。
【第2章:通奏低音の諸形態】
先ほどご紹介した定義「チェロなどの低音楽器に鍵盤楽器で和音を加えて演奏すること」を信じるなら、通奏低音の演奏には最低でも2人の奏者が必要になります。バッハの時代には本当にそのように演奏されていたのでしょうか?
ここでは、通奏低音を演奏するさまざまな形態について学びます。
これによってあなたは、通奏低音の楽譜に左手の音しか書いてない理由を、はっきりと実感できるでしょう。
【第3章:バッハの合奏音楽の低音パートに親しもう】
ここからは、あなたにも実際にピアノなどで音を出していただきます。
出発点として、バッハの合奏音楽の低音パートを左手で、じゅうぶんにバロック音楽らしく弾く練習をします。
これによってあなたは、次章以降で両手で通奏低音を弾くための土台をしっかり築くことができるでしょう。
【第4章:バッハの通奏低音を両手で弾いてみよう】
さあ、いよいよ通奏低音学習の醍醐味である「謎の楽譜の解読」に入ります。バッハが楽譜に書いた音は左手だけですから、右手はあなたが謎を解いて自分で音を決めるのです。
これによってあなたは、左手の音符を一つ弾くたびに、それを和声的に考えることを意識するようになるでしょう。
【第5章:通奏低音の理解に基いてバッハの鍵盤音楽を弾こう】
ついにこの教材の最終目標です。インヴェンションやフランス組曲などの鍵盤音楽を、まるで通奏低音が聞こえてくるかのように生き生きと弾きましょう。
このレベルの演奏ができているのは、プロの鍵盤楽器奏者でも少数派です。それでも、この教材で通奏低音誕生の歴史にまでさかのぼって学んできたあなたなら、その精神をきっと理解できることでしょう。そして、今後のあなたの音楽人生に、「通奏低音奏者の立場で考える」という大きな武器を手にする始まりとなるでしょう。
本当に八百板は通奏低音が得意なの?
ここ数年、私の活動は完全にインターネットでバッハの鍵盤独奏曲の解説を配信することに特化しています。あなたが「本当に八百板は通奏低音が得意なの?」と疑問に思われたとしても不思議ではありませんね。
以下、自慢話になってしまうのですが、私の通奏低音の評価を二つ紹介しましょう。
群馬にて:
プロのオーケストラである群馬交響楽団で長年コンサートマスターを務めた風岡優氏。彼が群馬県内で結成したプロの弦楽合奏団の公演に、私は旗揚げ公演から解散までの10年以上にわたって毎年通奏低音奏者として呼んでいただきました。
群馬県内にもプロのチェンバロ奏者がいるにもかかわらずです。風岡氏いわく「僕の大切な楽団の通奏低音は、ああいう奏者には任せられないからね。」
東京にて:
東京在住のある指揮者氏は、ヘンデルのオラトリオ「メサイア」の東京公演に、通奏低音奏者として私を指名して下さいました。
わざわざ新潟から私を呼ばなくたって、東京にはそれこそ山のようにプロのチェンバロ奏者がいるにもかかわらずです。彼いわく「八百板さんが通奏低音を弾いてくれるなら、低音パートは完全に任せられる。私は合唱の指揮に専念できる。」
あなたにとって、どれくらいの価値?
あなたにとって、「バッハ自身が望んだように、通奏低音の理解に基いてインヴェンションなどを生き生きと弾けるようになること」は、どれくらいの価値があるでしょうか?
東京や大阪など大都市なら、少人数のアンサンブルを対象とした通奏低音の講習会は時折開催されているようです。私も修業時代に東京まで出向いて、そのような講習会で通奏低音を勉強した経験があります。
けれどもあなたは今、バロック音楽の合奏に通奏低音奏者として参加したいわけではないでしょう。
この教材でお伝えする「通奏低音の理解に基いてインヴェンションなどの鍵盤独奏曲を弾く方法」なんて、どこでも教えていないはずです。
そんな高度な事を習いたかったら、プロのチェンバロ奏者に個人的に弟子入りする以外に方法はありません。
私はこういう境地でチェンバロ独奏曲を弾けるようになるまで、プロとして活動を始めて何十年もかかりました。誰からも教えてもらえませんでした。というか、「鍵盤独奏曲を弾くときに通奏低音を意識する」という考え方自体、私は自力で気が付くしかなかったのです。
これはプロのピアニストのほとんどが気付いてさえいない、バッハ演奏の奥義とも言える秘訣です。今まで聴き馴染んできたインヴェンションなどが、全く違ったものに聞こえるようになります。
あなたにとって、それを手に入れるのはどれくらいの価値でしょうか?
20万円ですか? 50万円ですか?
安心してください。あなたからそんなに頂くことはしません。価値の大きさに比べて、かなりお求めやすくなっています。
オンライン・ビデオ教材「バッハの鍵盤音楽と通奏低音」
~インヴェンションやフランス組曲などを、通奏低音が聞こえるかのように生き生きと弾こう~

目次:
【序章:バッハの鍵盤音楽の左手は特殊?】
【第1章:通奏低音誕生の歴史】
1-1 通奏低音誕生以前
1-2 フーガの全声部をなぞる通奏低音
1-3 レチタティーヴォの誕生
1-4 通奏低音の典型例
【第2章:通奏低音の諸形態】
2-1 オルガンのみ
2-2 チェンバロのみ
2-3 リュートのみ
2-4 チェロとチェンバロとリュート
2-5 チェロとコントラバスとファゴットとチェンバロ
【第3章:バッハの合奏音楽の低音パートに親しもう】
3-1 超有名曲の中の通奏低音
3-2 舞曲の中の通奏低音
3-3 巨大編成の中の通奏低音
【第4章:バッハの通奏低音を両手で弾いてみよう】
4-1 ノリのいいリズム感で舞曲を支える
4-2 通奏低音一人だけで合唱を連想させる
4-3 巨大な編成の中で存在感を発揮する
【第5章:通奏低音の理解に基いてバッハの鍵盤音楽を弾こう】
5-1 インヴェンション
5-2 シンフォニア
5-3 フランス組曲
収録曲*:
(*ビデオ教材で学習するのは各曲の冒頭部分です)
【第1章】
- パレストリーナ:「教皇マルチェルスのミサ」より キリエ
- バッハ:ミサ曲 ロ短調 BWV232 より 終曲「私たちに平和を与えてください」
- バッハ:クリスマス・オラトリオ BWV248 第1部 より 第2曲 福音史家「そのころ、皇帝アウグストから勅令が」
- バッハ:管弦楽組曲 第1番 BWV1066 より メヌエット
【第2章】
- バッハ:《シェメッリ歌曲集》より「あらゆる良いものの源泉よ」BWV445
- バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのフーガ ト短調 BWV1026
- バッハ:コラール「神から私は離れません」BWV418
- バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV1021 より 第1楽章
- バッハ:ブランデンブルク協奏曲 第1番 BWV1046 より 第1楽章
【第3章】
- バッハ:管弦楽組曲 第3番 BWV1068 より エール(通称「G線上のアリア」)
- バッハ:管弦楽組曲 第1番 BWV1066 より メヌエット
- バッハ:マタイ受難曲 BWV244 より 第1曲
【第4章】
- バッハ:管弦楽組曲 第1番 BWV1066 より メヌエットI
- バッハ:《シェメッリ歌曲集》より「あらゆる良いものの源泉よ」BWV445
- バッハ:マタイ受難曲 BWV244 より 第1曲
【第5章】
- インヴェンション 第1番 ハ長調 BWV772
- インヴェンション 第4番 ニ短調 BWV775
- インヴェンション 第15番 ロ短調 BWV786
- シンフォニア 第1番 ハ長調 BWV787
- シンフォニア 第4番 ニ短調 BWV790
- シンフォニア 第6番 ホ長調 BWV792
- フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813 より クーラント
- フランス組曲 第3番 ロ短調 BWV814 より メヌエットI
- フランス組曲 第5番 ト長調 BWV816 より ガヴォット
収録時間:
- 撮り下ろし限定公開動画:28本(7時間49分)
- 海外の古楽団体が演奏する参考動画:11本(6時間54分)
- 八百板が演奏する参考動画:9本(19分)
合計:48本(15時間3分)
郵送物:
- 八百板自筆の通奏低音解読譜(A4版12枚)
- バッハの合奏合唱音楽のスコア(A4版12枚)
価格:
34,000円(税込)
あなたの前には、2つの道があります
「通奏低音の理解が、バッハを本当にバロック音楽らしく生き生きと弾くための秘訣だ」ということにあなたが関心を持ってくださるなら、あなたの前には2つの道があります。
ひとつは、自分一人で頑張る方法です。
このページで「通奏低音」という要のキーワードをお伝えしました。それに「通奏低音は低音プラス和音ではない」という大きなヒントも差し上げました。
これらの情報を元に私のように粘り強く探求すれば、いつかあなたも私と同じ結論に達することができるでしょう。
もうひとつは、もっとずっと早くて簡単な方法です。
私が長年通奏低音奏者としても活動してきた経験を生かした28本(7時間49分)もの撮り下ろし限定公開動画、海外の古楽団体の感動的な参考動画、私が「通奏低音の謎の楽譜」を解読した手書きの12枚の郵送楽譜などが、そっくりあなたのものになります。
音楽人生への投資
通奏低音の勉強を一日早く始めることは、限りある人生においてバッハをバロック音楽らしく弾ける日が一日多くなることを意味します。これはあなたの音楽人生への投資です。今日の決断があなたの人生の転機となることを願っています。
