まるで私の作品(写真付き)

娘の夏休み自由研究がやっと完成しました! タイトルは「いろいろな所から見た 弥彦山と角田山と国上山」

といっても、自由研究って半分は親の仕事ですよね。これらの山を越後平野のいろいろな所から見て形や重なり方や色の変化を調べるのですから、妻と手分けしてけっこういろんな所に連れて行きました。最後の地図上でのまとめに至っては、娘はただ手を動かしただけかも。

手がかかっただけあって、私はまるで自分の作品みたいに愛着が湧いてしまいました。もともと地理は好きなんです。来年は何をさせようかな? 地形図を色塗りして土地利用について調べるとか? 地図で信濃川氾濫原の自然堤防を探して現地調査するとか? ああ、ワクワクします! 自分の仕事でもないのに。

それでも、娘にも考えさせましたよ。
私:「このスケッチをした日はあの日と同じくらい空気の透明度が高かったのに、どうして山がみんな水色なんだと思う?」
娘:「見たところが弥彦山から遠かったから」
私:「このスケッチはけっこう弥彦山の近くから描いたのに、どうして色が単調なんだと思う?」
娘:「空気の透明度が普通だったから」

始めの問いはルネサンス時代のイタリアの画家たちが発明した(というか気がついて絵画に取り入れた)「空気遠近法」ですね。遠くの山を水色に描くと、そのことだけでも遠くにあるように感じられるという技法です。

 

私はこういう、表面に現れる現象の奥に潜む原理を追求するのが好きです。

音楽でもそうです。ただそこに#が書いてあるから半音高く弾くのでは機械と同じです。この状況で音を半音上げることは和声的にこういう効果があって、その時代の人々の習慣ではそれはこういう特別な意味を持つもので、作曲家はこういう感情からその特別な意味を持たせたかった。だから私もこういう感情を持ってこの#を弾こう。というようにすべての#や♭の理由を全部考えたら、それだけでもずいぶん感情豊かな演奏になると思いませんか?

チェンバロ教室の生徒さんにも同じような話をします。生徒さんがうまく弾けても弾けなくても、その#ひとつに込められた歴史的背景と作曲家の感情について話します。うまく弾けるようになるだけが音楽教室の目的ではありません。

チェンバロ教室の生徒さんはほとんど大人の方々で、大人はやっぱり何だかんだ言って忙しいです。ほとんど練習できないでレッスンにいらっしゃることも少なくありません。それでも、歴史や文化の話なら練習と無関係に楽しむことができます。そして、そんな豊かな背景を持つ#や♭なら、もう少し時間を作って練習してみようかな、という気持にもなれるでしょう。

 

追伸

「チェンバロを習う」なんていうと、よっぽどピアノを達者に弾きこなす人だけの世界だと思っていませんか? 私の教室は違います。鍵盤楽器を弾いたことがないという方も、楽譜が全く読めないという方もお迎えしました。どなたも大人として豊かな教養を育みながらそれぞれのペースで楽しんでくださっていますよ。

あなたの人生に「チェンバロを弾く」ことが加わったら幸せだと思いませんか? チェンバロ教室のページもご覧いただけると嬉しいです。

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まるで私の作品(写真付き)” に対して4件のコメントがあります。

  1. T.H より:

    おはようございます。夏休み自由研究完成おめでとうございます!
    立派な作品できっと担任の先生も驚くことでしょう。親と子の楽しい思い出になります。

    私の場合は一緒に作業したことはありませんが、いまだに1年生の時の作品と6年生の時の息子の作品を持っています。1年生の時は自分で育てたひまわりの絵、6年生の時は調べた歴史年表でした。6年生の時は何をしているのか全く知らずにいて、ずいぶん後になってこんなことをしていたのかとようやく思った次第です。ご一緒にまわられたり、アドバイスされたり親も子もお幸せでした。二学期への素晴らしい活力になると思います。

    空気遠近法という言葉はダ・ビンチのところで読んだような気がしています。お子様とも高度な会話をされていらしゃるのですね!

    1. 八百板 正己 より:

      コメントありがとうございます。

      お子様の自由研究の作品をまだ持っていらっしゃるなんて、お子様思いでいらっしゃいますね!

      自由研究以外にも、絵を描けとか、俳句を作れとか、読書感想文とか、子供の夏休みは親にとっても忙しいですが、普段と違う親子のかかわりの機会をもらったと思って楽しむことにしています。

  2. 山下廣之 より:

    私の小学生の頃を思い出します。自由研究の出来が悪いと学校に持って行く前に親に叱られたものです。親の研究かとスネたこともありました。

    1. 八百板 正己 より:

      コメントありがとうございます。
      そんな昔のことを覚えていらっしゃるんですね。親御さんのお気持、よく分かります。私だって、𠮟る前に手を出しているようなものですから。

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