大地の芸術祭を見てきました

家族3人で、一泊二日で「大地の芸術祭」を見てきました。

十日町市を中心とした地域で3年に一度行われる芸術祭です。私の苦手な現代美術ではありますが、私が大好きな農村地域(というか田畑そのもの)に世界的な芸術家が作品を設置するのですから、不安と期待とがごちゃ混ぜです。

どうせなら非日常的な体験をしようと、普通にホテルに泊まるのではなくて、古い民家を一軒貸し切りにできるという所を見つけて予約しました。人気の宿で、秋まで予約でびっしりのところ、たった一日だけ空いていたので、無理やり予定を合わせて行ってきた次第です。

宿はおもしろかったですよ。囲炉裏もあるし、風呂は薪で焚く露天風呂です。部屋は10個もあって、きれいな部屋だけ使っても20人くらいで合宿ができそうです。そんな大きな家をたった3人で独占です。娘は秘密基地を探検するみたいで家じゅうを大騒ぎでビデオ撮影していました。

 

さて、私は現代美術が苦手だと書きましたが、今回の最大の収穫はその偏見をなくすことが出来たことでしょう。今まで、特に「インスタレーション」と呼ばれるものにはずっと疑問を抱いていたのです。(ご参考までに、インスタレーションとはWikipediaによれば「1970年代以降一般化した、絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ現代美術における表現手法・ジャンルの一つ。ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化・異化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術」とのことです。)

なぜかというと、私が見たことのあるのがいずれも新潟県内の無名作家によるものばかりだったからかもしれませんが(新潟県内の美術関係の方、ごめんなさい)、どうにも観念ばかりが先走っているようで、奇をてらっているというか、美しくないし、おもしろくないし、何かメッセージが伝わってくるわけでもなく、「要するにこれって自己満足でしょ」といつもがっかりしてきたのです。

それがです、今回は違いました。どういうわけか分かりませんが、見ていて飽きないのです。見かけがキラキラしているわけではないのに、どこか美しいのです。そして不思議と農村風景に違和感なく調和しているのです。事前にポスターなどで知っていた作品などは、ポスターを見る限りでは「こんな奇をてらったことを」と思っていたのですが、実物は違いました。まさに農村に置かれるべくして作られた感じがするのです。

私なりに考えて得た結論はこうです。どんな芸術分野でも、世界の一流の芸術家の手にかかると、その分野に疎い者の心をも動かすのだと。

 

さあ、そうなると自分の演奏が気がかりです。世界的な奏者ではない私の演奏は、クラシック音楽に疎いお客様にとっては退屈なのでしょうか? 奇をてらっただけなのでしょうか? 自己満足でしょうか?

クラシック音楽が現代美術と違うのは、演奏者は世界的でなくても、曲を作ったのは人類史上まれに見る大天才だということです。演奏者が作曲家の崇高な精神に感動し、作曲家の代理人として曲を現代に蘇らせることに専念する役割が与えられていることです。例えるなら、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロが描いた絵を専門家が修復するようなものと言えるかもしれませんね。

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大地の芸術祭を見てきました” に対して2件のコメントがあります。

  1. T.H より:

     古民家で一泊二日過ごされたとは良い経験をされましたね!

    大地の芸術祭は友達と過去2、3回行ってきました。時々その場面を思いだします。
    その1つ、運動会の飾りのようにたくさんのハンカチを結んだ線(?)が頭上におおわれていて
    広々とした緑の大地とマッチして見事な眺めでした。台風が来たらどうなるのかなあなど思ったり。
    十日町で見た様々を思いだしました。
    またたしか芸術祭の一環として角田の砂浜に大きな三角柱の緑色の石(?)がたくさん並んでいたのが記憶にあります。
     
     ちょうど今朝8時近く今年の芸術祭の出品作がテレビで紹介されていました。大きなカーテンが風にゆれ遠方の景色が様々に見え隠れしている様、津南のトンネルのむこうに見える川、岸壁など。
    芸術家の方々は普段考えられない発想をされるのに驚いています。

    きっとお嬢様にも記憶に残る日々だったことでしょう!!!

    1. 八百板 正己 より:

      コメントありがとうございます。
      ご指摘の「大きなカーテンが風にゆれ遠方の景色が様々に見え隠れしている」作品は私たちが見てきたものかもしれません。人気の作品だそうですね。その同じ作品を、河岸段丘を一段下って別の作品を見に行く道中に裏側から見上げる格好になりましたが、不思議と周囲に溶け込んでいました。

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