県境を越えて(写真付き)

お隣の山形県酒田市でのオルガンコンサートを終えて、帰り道に県境の鼠ヶ関付近で撮った夕日です。おっと、水平線が傾いてしまっていますね。

山形に演奏に呼んでいただくのはもう6回目だったと思いますが、夕日の見える時間に県境の海を通ったのは初めてです。左に見えるのは粟島です。日本海東北道が少しずつ整備されて、山形に行くたびに少しずつ時間が短縮されています。それでも、県境のこの辺は一番交通量が少ないので、まだ当分は一般道を通ってこの景色を見ることになるのでしょう。

今回は初めて弾くオルガンに慣れるために、一週間ほど前にも練習に行きました。同じ道を週に二回も通ったために、何だか山形県がとても身近に感じられてきました。

 

身近に感じたのはそのためだけではありません。コンサートには見知ったお顔が何人もいらっしゃいます。一番驚いたのは新潟市にお住まいのチェンバロ教室の生徒さんご夫妻がわざわざおいでになったことです。お話を聞くと、なんとこのオルガンを聴くのは2回目との事。私より先にこのオルガンの魅力をご存知だったとは。

それから、ここ酒田市にお住まいのチェンバロ教室の生徒さんご夫妻。いつも新潟までレッスンにおいで下さってありがとうございます。今日は私のほうが県境を越えてやってきましたよ。じつは、私の山形県での演奏歴のうち4回はこのご夫妻に呼んでいただいていたのです。かわいい花束もありがとうございます。奥様はこのオルガンの演奏者としても常連です。

それから、昨年秋にお隣の鶴岡(新潟から酒田に来る途中の町です)でコンサートを企画してくださった方もお見えになりました。美味しいお菓子のお土産もご馳走様です。

 

ここのオルガンには、毎月仙台からプロのオルガン奏者を招いてのオルガン教室が開かれています。そのオルガン奏者によるコンサートも行われているそうです。そんな中で、チェンバロ奏者の私が今回はチェンバロを使わずにオルガンだけのコンサートを頼まれたのです。普通にオルガン曲を並べたコンサートをしたって、あまり意味がないでしょう。

私はこのオルガンが持つ魅力的なパイプ列を一つずつ選んで紹介し、それらを重ねると人間の耳の錯覚で全く別の音色に聞こえることをバッハの演奏とともに説明しました。そして、2段の鍵盤がそれぞれ別のオルガンとして、パイプも別々の場所にまとめられていること、本場ヨーロッパのオルガンのようにきちんと別々の場所にまとめられているオルガンは珍しいことを説明し、2段鍵盤を交替させて弾く「エコー」という曲でその対比をじっくり10分近くも聴いていただきました。

プログラムの後半には地元酒田市在住のソプラノ歌手の長谷部和子さんと共演で、400年以上前に作られたコラールを2つ選んで、それがバッハのカンタータでどのように展開されたかに焦点を当てました。歌詞対訳には、単語一つ一つの意味まで全部私が訳したものも添えて、音符の一つ一つに作曲者が込めた尋常でない思いを共有していただけるようにしました。

コンサートはこのオルガンが設置されている教会の主催ということもあってか、会場には毎週の礼拝でこのオルガンを聴きなれている信者の方々も多くいらっしゃったようです。それでも、ただオルガンで美しい曲を弾く、ということを超えて、ここ酒田の宝物、いえ山形県随一の規模を誇る宝物としてのオルガンを、今までとは全く違う見方で見直していただくきっかけになったと思います。

私には私だけができる貢献があります。他の人だってそうです。あなただってそうです。誰もが自分だけができる貢献をして社会に役立っていけるのです。

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県境を越えて(写真付き)” に対して1件のコメントがあります。

  1. T.H より:

    おはようございます。昨日は多彩な演奏会に参加できて幸せでした。オルガンでインヴェンション1、4、10,3番をパイプの長さを変えたり、重ねられたりして演奏されました(シンホニアも)。後でオルガンの正面で、パイプの長さの違いをはっきり見ることができました!シャイトのエコーの演奏では下鍵盤で弾かれたメロデーが上の鍵盤でまた弾かれていたので「エコー」と名つけられているのだと合点しました。ていねいなわかり易い説明でした。また長谷部さんとコラールを歌われたので驚きましたが、「ああ、先生は新潟古楽フェステバルで毎年歌っておられた」ことを思いだしました。今回のバッハ、ブクステフーデの曲はよく聴いていたので心地よかったです。
    最後にオルガンのキーに触れさせていただいたのですが、鍵盤のキーの手触りがとてもソフトで暖かく素敵な感触でした。1曲でも弾けたら素晴らしいのに…。大変大変ありがとうございました!

    1. 八百板 正己 より:

      ご来場ありがとうございました。そして丁寧なコメントにも感謝いたします。

      T.Hさんは、ご自身でもインヴェンションを弾いた経験をお持ちなのですから、今度オルガンコンサートのあるときにはぜひ始めの4小節くらいでも鳴らしてみてください。気持いいですよ。

      1. T.H より:

        ありがとうございます!感謝でいっぱいです。

  2. 家合映子 より:

    この写真は癒されますね。🐟。

    1. 八百板 正己 より:

      ありがとうございます。
      夕日は何か人の心を特別な所に連れて行ってくれますね。

  3. 長谷部和子 より:

    先生、昨日はお疲れ様でした。素敵な教会でパイプオルガンと歌える事は大変貴重な時間でした。
    昨年の鶴岡に続いてご縁を頂けた事、感謝しています。(๑˃̵ᴗ˂̵)

    1. 八百板 正己 より:

      長谷部さん、こちらこそありがとうございます。
      やっぱり歌の力は素晴らしいですね。後半、長谷部さんの登場で会場が急に華やいだ雰囲気になりました。音楽とは本来人の声で歌われるものだということを、改めて思い出すことができました。

  4. 塚田泰司 より:

    教会でこのようなコンサートをしてくださったことは、とてもうれしいです。教会で演奏されてきたオルガンの持つ魅力と意義が、現代では置き去りにされてしまいそうなとき、このようなオルガンを設置した教会と、演奏者に敬意を表します。

    1. 八百板 正己 より:

      塚田さん、コメントありがとうございます。
      演奏する私にとっても、ただ美しい曲を弾くということを超えて、何か意義のあることに関われるのは幸せなことです。

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