灯台下暗し(写真付き)

自宅のすぐ裏を流れる五十嵐川の土手に咲く芝桜です。

雪国の春は本当に嬉しくて、花や木や鳥など、春を感じさせてくれるものが気になって仕方がありません。車に乗って出かける時も、何か春を感じさせてくれるものにもっと出会えるかと遠回りしたり、車を止めてその辺を少し歩いたり。

そんな事をしていながら、自宅から一番近いところの春を見落としていました。「灯台下暗し」ですね。

写真を見ると、芝桜がこの先もずーっと続いているようにも見えますが、この写真を撮った辺りから始まって、ちょうど橋の手前で終わっています。つまりこれが全景です。守門岳に源を発する大河である五十嵐川で、ここにだけ芝桜が植えられているのにはちょっとした訳があるんです。

 

それは14年前のことでした。

結婚して三条市内に移り住んで2ヶ月後の7月13日、前日から大雨が降り続いていましたが、私はレッスンのために朝から見附チェンバロスタジオに行っていました。その間に、自宅の裏を流れる五十嵐川が増水して、よりによって自宅の裏あたりから堤防を乗り越えて水が市街地に流れ込んできました。自宅は浸水。駐車場に止めてあった妻の車も、妻の家族の車も、みんな水浸しで廃車。助かったのは私の車だけ。そうこうするうちに少し上流の対岸で堤防が決壊して、通称「7.13水害」となりました。

次に同じくらいの大雨が降ったら、この堤防の高さでは防ぎきれないことが明らかになりました。堤防を1mほどかさ上げする工事が2年くらい続き、完成した新しい堤防に芝桜が植えられた、というわけです。

これだけ広い面積の芝桜を維持管理するのはきっと大変でしょう。ボランティアの会が四季を通じて草刈りなどをしています。7年前の通称「7.29水害」では、かさ上げした堤防の縁ぎりぎりまで増水した濁流のために、芝桜はほとんど流されてしまったんです。それでもまた植え直され、草刈りや植え直しなどが続けられ、今年もきれいな花のじゅうたんを見ることが出来ます。

 

一度完成したものを維持するのって、全然注目されない地味なことだけど大切ですよね。スポーツの世界などはその最たるものでしょうけれど、音楽だってそうです。練習をサボると確実に下手になっていきます。ああ、このごろ練習時間が取れないなあ。私があと二人くらいいればいいのに。

この日、花の盛りはちょっと過ぎてしまったけれど、雲雀(ひばり)も鳴いていて気持のいい朝でした。雲雀も春の気持ちよさを歌っているのかな? とロマンチックに思いたいところですが、本当はメスの気を引いたり、縄張り宣言をして他のオスを牽制しているんですよね。雲雀にとっては真剣なのです。そう思ったら、何だか雲雀の鳴き声に悲壮感を感じてしまう私です。

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灯台下暗し(写真付き)” に対して4件のコメントがあります。

  1. T.H より:

    きれいな土手になったのですね!

    古い日記を見てみたら、2004年7月29日三条の「楽市楽座」(?)へ布団、鍋、洗剤などを運んだと書いてありました。あの時新聞で被災者の方へ何か生活用品など寄付してほしいという記事をみて動きました。私自身もまだ独身の頃中之島で刈谷田川の水害にあっていました。その当時いろいろな方のお世話になりました。
    テレビで何度も放映された三条の「7.13」水害の映像は大雨の降るたびに思い出されます。

    1. 八百板 正己 より:

      コメントありがとうございます。
      わざわざ三条まで運んできてくださったのですね。大変なことがあっても、美しいことで置きかえる力を持っているのが、人間の素晴らしさです。

  2. 家合映子 より:

    先生、大変な経験をされたのですね。あの(三条の水害のあった)年は、6月の初旬から異常に暑かったのを、今でも記憶しています。・・そして(今日の)写真からは、三条の空気が画面を越えて伝わって来そうでした。🐟

    1. 八百板 正己 より:

      コメントありがとうございます。
      「空気が伝わってくる」って、写真にとっての最高の褒め言葉ですよ。嬉しい!

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