風岡優ヴァイオリン・リサイタル「バッハのヴァイオリン独奏曲全15曲」最終回

ついに、新潟でこれが全部聴ける日がやってきた

30年以上も新潟の弦楽愛好家たちを導き続ける
元群馬交響楽団コンサートマスターの
ヴァイオリン人生の総決算
めったに演奏されない作品まで完全網羅
もう「この次」はありません

 

日時 2019年2月22日(金)18:30開場、19:00開演、21:00終演予定
出演 風岡優(ヴァイオリン)、八百板正己(チェンバロと解説)
会場 りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)スタジオA
新潟市中央区一番堀通町3-2
曲目 J.S.バッハ作曲:
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第6番(初稿)BWV1019a
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第5番 ヘ短調 BWV1018
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第6番 ト長調 BWV1019
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料金 全席自由、前売り3,000円(当日500円増し)
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主催 八百板正己
後援 日本チェンバロ協会

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風岡優インタビュー

1:風岡優と新潟

【八百板】これまでの新潟との関係を教えてください。

【風岡】1980年代に私が所属する群馬交響楽団は、新潟県の依頼で新潟県内の巡回演奏をしていた時期がありました。おかげで県内の道路に詳しくなりました。

新潟大学オーケストラの指導は1985年頃から現在まで続けています。その他に新潟大学OBオーケストラ(新潟メモリアル・オーケストラ)のトレーナーを続けていますし、一時柏崎のオーケストラ指導に通ったこともあります。

個人指導では新潟大学の卒業生数人が今も私の自宅や東京のレッスン室にお見えになります。

2:風岡優のライフワーク「バッハの無伴奏ヴァイオリン曲」

【八百板】今までにバッハの無伴奏ヴァイオリン曲全6曲の演奏会は何回おこないましたか?

【風岡】いずれも10年ほどの間隔を置き、3回です。1回目は1980年代、2回目は1998年、3回目は2009年でした。その際、最後のMCで「70歳の頃またやりたい」と話していましたが・・・(八百板注:そのMCのとおりとなったわけですね)

【八百板】その3回の全曲演奏会を通して、風岡さんの演奏や音楽観その他がどのように変化してきて、その延長として今回の演奏をどう位置付けるのかを教えてください。

【風岡】演奏とはその時どれだけ深く追求しつつ練習出来ているかなど、その時期の自分を観るために行うもの、という考えは以前より一貫していますが、たとえ結果的にお客様には好意的に受け容れられようとも、自分には反省しか残らないというのも同様です。ただその反省内容が、歳とともに変わってきたことは事実です。

以前は難なくできたことが今は苦労する(特に身体能力的に)部分は当然ありますが、考えも及ばなかったことが今は実現し得ているというところもあります。頭でっかちになってゆく、ということでしょうか。

【八百板】具体的には?

【風岡】これは殆ど細部にわたる話ですので一言では説明できませんが、大雑把に言えば、声部の解釈をいろいろな角度から見えるようになったということです。以前はかなり硬直した見方しかできず、他の可能性に気づかなかったところも、拍子の取り方なども相まって、様々な音楽が見えるようになりました。バッハの奥深さと包容力でしょう。

3:なかなか演奏されない「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」

【八百板】バッハのヴァイオリンとチェンバロのためのソナタは、6曲あるうち何曲演奏しましたか?

【風岡】実は2曲しか演奏していません。望ましいチェンバロのお相手がなかなかいなかった、というのが大きな理由です。皆無、ということはなかったのですが、バッハを内省的に捉えることなく、単に客受けする演奏を目指す方とはどうしてもバッハを共有する気にはなれませんでした。

【八百板】ということは、私はその点では風岡さんにとっての許容範囲にいると受け取ってよろしいですか? とても光栄です。

【風岡】その通りです。許容範囲などという「上から目線」ではありませんが・・・

【八百板】「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」は無伴奏と比べると知名度も低く演奏される機会も少ないですね。この理由をどうお考えですか?

【風岡】今風に会場を華やかな色に染める、という曲ではないので、「客寄せ」のプログラムとしては選択肢にも入りにくいし、ある程度の音楽体験を経た聴き手でないと、ヴァイオリンとチェンバロの絡み合いは楽しめないと思われているのかも知れません。

無伴奏の方は、ヴァイオリンのみということもあるし、演奏者の技術を通して内面を窺えるなど、ドラマ性に満ちているところがありますから、一般のお客様にも受け入れられやすい面はあるかも知れません。簡単に言えば、無伴奏の方は「難しい」ことは一般の方にも一目瞭然だし、スリルも味わえるという点、ある種「分かりやすい」でしょうね。

【八百板】チェンバロとのソナタは確かに慣れない人にはどこをどう聴けばいいのか戸惑う音楽かもしれませんが、音楽体験の少ないお客様に「聞き取れないあなたが悪い」と突き放すのは演奏家の責任放棄だと私は思うのです。これも素晴らしい人類の遺産なのですから。

そこで、コンサート本番で少し時間を取って、ヴァイオリンとチェンバロが主題をやり取りしている場面などを抜き出してデモンストレーションをしてみたいのですがいかがでしょう? もちろん、全部の曲についてそんなことをしたら勉強会になってしまうので、たとえばプログラム1曲目についてだけとかポイントを絞って。

【風岡】大変結構だと思います。

【八百板】風岡さんはこれらのソナタの価値を、ロマン派など後世のヴァイオリンソナタと比べてどう評価していますか?

【風岡】適当な言い方かどうか分からないけれど、バッハの方は狭い部屋での限られたコミュニティ内の会話を思わせ、後世のものは時を経るにつれ、どんどん大演説(コンチェルトとはまた別種の)になっていくような気がします。(八百板注:その意味でも、バッハのこの曲を「りゅーとぴあ スタジオA」で少人数で分かち合えるこの企画は、この曲の味わい方として理想的だと思います。)

4:風岡優にとってのバッハ

【八百板】風岡さんにとって、バッハの音楽はどういう位置付けですか?

【風岡】バッハの音楽は、演奏の根本というか、一種の宗教のようなものも感じます。中でもヴァイオリン独奏曲は、音楽の文法・表現等々に関する演奏の原点と思っています。

【八百板】コンサートマスターとしての長年の経験が、バッハのヴァイオリン独奏曲の演奏に及ぼしていると思える良い点などありますか?

【風岡】私の場合は逆に、バッハで学んだことがオーケストラでの演奏に大きく関与してきた、と思っています。ただポリフォニーの中に色々な楽器をイメージできるのは、オーケストラの響きを経験してきたおかげかも知れません。

【八百板】具体的に説明していただけますか?

【風岡】特にフレージングについて、その始まりと終わりなど、バッハから文法を学び、それをオーケストラでの演奏に活用できたということです。単に感覚的な演奏と、そういった文法を知っての上の演奏では全く異なってきますし、膨大なオーケストラの音を整理するには不可欠のものと思います。

しかしそれにしても、他の管弦楽曲その他においてもバッハの神髄に触れることはもちろんできますが、4本の弦のみで大編成のオーケストラを凌ぐ深く広い世界を探求出来るのですから、バッハがこの無伴奏を残してくれたことに感謝するしかありません。

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